死神は願う ページ13
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次に目を覚ますのは何時間経過したか分からない部屋の中、窓の外を見ても夜だけしか存在していない。起き上がろうとするが鉛のように身体が重く壁に手を着いて何とか踏ん張ってなるべく警戒しながらも辺りを注意深く見渡すがすでにうらたぬきさんの姿はなく私は一息ついた。
悪夢よりも酷い出来事だった。しばらく動くことは出来ないだろう。自分の手が無意識に首筋へと伸びて肌に触れてみるとなにか凹凸した跡が残っているのがわかる。
(やっぱり現実だ)
生まれて初めて誘拐されてしかもそれが怪物だなんて冗談でも笑えない。元に戻れる方法も今のところ見つからないわけだし。
誰かこの船に住んでる一人くらいは方法を知っているんだろうけどそんなすぐに教えてくれる誘拐犯なんて誘拐犯とは言えないから教えてはくれないだろう。
「…探せばいいのか」
だったらこんな所で指をくわえていないで少しでも自ら行動しなければ意味が無い。リスクを抱えてでも相手側は『なるべく殺さない』と事前に宣言しているわけだから簡単には手にかけないはず。手がかりだって一つくらいはあるだろう
だからといって完全に保証がある訳でもない。見つかったら即最低でも誰か一人に喰われる可能性だって充分にある。
(もう動けるよね)
私はふらつくもののなんとか立ち上がり足を進めて扉の前に立った。深くゆっくりと深呼吸をして慎重にドアノブを捻った。
✟✵❃✞❃✵✟
幸運にも他の四人と出くわすことがなく探索をすることが出来ている。けれどもこの船内の構図がわからず右も左も分からないままなんとなくの場所を歩き回っていた。
これ完全に迷子だよね…。さすがに無計画に行き過ぎたかな。
途方に暮れて視線を別の方向へと向けるとふと偶然にも見覚えのある扉が目に入った。真っ黒な扉、一つだけ異様に違うためあの洋風の墓地への扉だと一発で分かった。また引きずり込まれるかもしれないけど唯一分かるのはここくらいだし。もしかしたら手がかりここにあるかも。
私は意を決して扉に手をかけてノブを引いた。
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