【d！】弱肉強食の世界で最弱の私:2

向き合う覚悟（ps side） ページ37

ps side
　
　
　この出会いは奇跡なんだろう


　あるいは前世の俺への贖罪なのかもしれない


主「すいません。朝から私のとこ居ますけど仕事大丈夫なんですか。」

　微笑みながら俺の方を振り返った今にも消えてしまいそうな女の子

『大丈夫。今この病院にいるのAちゃんぐらいだから。寧ろ暇なぐらいだよ。』

主「暇だからと言って患者を連れ回す医者とは? 」

『細かい事は言わなーい。』

　俺がカラカラと笑うとなんとも言えない表情をするAちゃん

　一週間の療養が始まった三日目。ほんの少しではあるがAちゃんの表情がなんとなく分かる様になって来た。初対面の時は本当に本心では何考えてるのか全く分からず四苦八苦

　これでも前世カウンセラーやってて沢山の子を見て来たのに。自分の技術不足が妬ましく思う


　このままでは前世と同じだ


『Aちゃんはさ大人になったら何の仕事したいの? 』

主「仕事ですか……? 」


　未来への”希望”


　それは生きる事、努力する事の重要なエネルギーになる。俺も小さい頃から「苦しんでいる人たちの励みになりたい。」なんて人前では恥ずかしくて言いづらい”夢”があった

　誰だって夢はある。未来への希望を持って毎日を生きている

　因みにだが俺はそんな男の子達が大好きである。夢に向かって汗を流し友情を育む姿は正に眼福


　でもAちゃんにはそれが無い


　黄色い瞳が宿すものは”無”だ


主「あー……今のとこ特に無いですね。やりたいこともそれと言って無いですし。」

『そうなんだ……』

　Aちゃんは何も見ていない様に見える


　困難に立ち向かう”勇気”


　互いに支え合う”友情”


　人を思いやる”愛情”


　あげ出したらキリがないが、それら全て何も宿っていない。ただ永遠と続く暗闇を見ているみたいだ

　教えてあげたい


　誰かに助けを求める事


　自分の感情を大切にする事

　
　何より


　世界には自分を大切に思ってくれる存在が沢山現れる事


『でも……』

　前世のAちゃんが中学を卒業してからもずっと後悔があった

　Aちゃんが虐められていたのも知ってた。ずっと助けて欲しいと笑顔の裏で泣き続けていたのも


　でもそんな訳無いと心に蓋をして俺は逃げたんだ


『……でもきっと、やりたい事見つかるよ。』

　黄色い瞳を見た

主「…見つかるといいですね。」


　絶対逃げない

　Aちゃんが希望を取り戻す時まで


　俺は見守り続けるよ

平和な病院暮らし→←最近の乙女ゲー凄いな…

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