支え合うこと（7） ページ25
病院に着いた頃には、５時半を回っていた。
病室に入ると、静かに眠る大我の姿が見えた。
北「…大我、来たよ」
起こさないように、小声で呟きながらベッドサイドに置かれた丸椅子に座った。
心電図も点滴も、朝見たときと変わりらず付けられていたけれど、酸素マスクは外されている。
まだ青白い、少しやつれた大我の顔。
1か月前と比べて少し痩せてしまったのが分かる。
昨日の夕食時にも感じたことだったが、もしかするとここ1か月、満足に食事が摂れていなかったのかもしれない。
それはきっと、家事による疲労であったり新生活によるストレスであったり、そういう身体への負担によって生じた体調不良のせい。
いつもの俺だったら、僅かな違和感も感じ取って、大我の体調を気遣い、支えてあげられた。
だけど、最近は自分のことで精一杯で、大我を気にかける余裕すらなくて。
改めて、自分がどれだけ大我に負担をかけてしまっていたのかを感じて、後悔の念にかられた。
やんわりと大我の冷たい手包み込み、握っていると、指先が少し動いた。
息づかいが少し変化して、ゆっくりとまぶたが開く。
少しの間ぼんやりとしていたけれど、視線がこちらに向いて俺の姿を目に止めると嬉しそうに、でも申し訳なさそうに眉毛を下げて、微笑んだ。
北「…っ！大我、大我っ。よかった…、苦しくない？痛みは？」
思わずそう聞くといつもより幾分も細い声で答えてくれる。
大「…ん、ほく…大丈夫。もう苦しくないよ。
あ…もう。泣かないの、ほく…。」
いつの間にか、俺の瞳から涙が溢れていた。
大我は点滴の繋がれていない方の手を伸ばし、涙を優しく拭ってくれた。
北「大我っ、本当にごめん。調子悪かったこと、全然気づいてあげられなかった。
ご飯も、ほんとはあんまり食べられてなかったんだよね。
それなのに俺、自分のことで頭がいっぱいで、大我にたくさんたくさん無理させてしまった…本当に本当にごめん。」
大「ほく…、謝らないで。
俺の方こそごめんなさい。調子悪かったら、ほくにちゃんと伝えるってきまりだったのに、隠しちゃってた…。
ほくの仕事が忙しいことを分かってたから、ほくのことが大好きだから、負担になりたくなかったの。
ごはんのことも、嘘、ついちゃった。ほんとのこと言うとね、最近食欲が無くて、あんまりご飯食べられてなかったんだ。
余計に迷惑かけちゃったよね…。
ごめんね。」
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ぽちた(プロフ) - しおさん» ありがとうございます！私もきょもほく大好きです(*^^*)短編をちょこちょこ更新していく予定なので、よかったらこれからも読んでみてください (2020年4月9日 13時) (
レス) id: cc0c2d56be (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - きょもほく大好きです！素敵なお話で、今後も楽しみです！応援しています♪ (2020年4月9日 0時) (レス) id: 46ec5817d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽちた | 作成日時：2020年4月8日 0時
