白雪姫と7人の恋人たち２ (ページ18)

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横尾、藤ヶ谷サイド

"コンコン"

横「太輔、起きてる？」

いつものように部屋の扉をノックすると
ドアから太輔が眠そうな顔をのぞかせた

藤「どうした？入る？」

横「うん、いい？」

綺麗に片付けられた部屋へと入ると
いつものようにソファーに腰掛ける

藤「えっ？コーヒー自分だけ？」

笑いながら俺の手元を見る太輔

横「あっ、ごめん…無意識に持ってきてた」

藤「なんだよ、それ」

お腹を抱えながら笑う太輔を横目にまだ
ボーッとしている俺はコーヒーを一口飲んで
頭の中を整理した

玉に薬を渡したあと
部屋に戻っても落ち着かなくて
気づけば太輔の部屋をノックしていた

藤「あっ、飲むんだ」

まだ笑っている太輔をジッと見つめる

横「いや、太輔！そんな事言ってる場合じゃないから！」

急にスイッチが入った俺に驚いている太輔は

藤「うん、どした？どした？」

半分、からかうように次の言葉を待っている

横「……玉にとられると思う」

藤「たま？何をとるの？えっ？なんの話？」

横「いや、真面目に。このままじゃ、太輔絶対後悔する」

何となく何の話か察しがついたような太輔は
目をそらしてうつむいた

藤「このままじゃダメなのは分かってるよ…でも、渉も聞いたことあっただろ？玉の話」

横「………そうだけど、それが本当にAちゃんかどうか分からないじゃん！仮にそうだったとしても、全力で立ち向かわないまま逃げるのは違うと思う」

藤「逃げてる訳じゃないよ。玉の話聞いて、また2人がどこかで出会えて恋ができたらいいなって素直に応援してたんだよ俺は。………だから、邪魔者にはなりたくない」

横「じゃあ、違ったら？………Aちゃんが、玉がずっと話してた白雪姫みたいな子じゃなかったら？それなら、いいの？」

藤「…………………」

横「違うでしょ？答え出てんだよ……太輔の中で……玉に遠慮する気持ちがあるなら、堂々と宣言すればいいよ。玉だって昔からずっとしまってた想いがあるなら行動に移すよ、それは玉の自由。でも今は、玉がどうとか関係ない。太輔の話だよ」

正直、自分でも分からなかった
こんなに熱くなる理由が…………
あと一歩が踏み出せない自分を
太輔に重ねるように背中を押した
Aちゃんの部屋へと向かった玉を
邪魔して欲しかった…
自分じゃ何もできないくせに……