きゃぱしてぃ。ー【２】ー

本編６７ ページ23

─てつやside─


としみつから聞いた話。本当なら、としみつが悩んでるのをすぐにでもサブチャンとか回して動画にして楽にしてやりたい。

でも、俺はあの時のAちゃんの顔を思い出したら何とも言えなくて、皆の意見が固まって来たの分かってても、“俺もそう思う”とはなかなか言い切れなかった。


あれは、数ヶ月前─────…


────────…


───…


俺と虫さんで、友達を尾行したら何時間で気付くのかって言う検証動画を撮った際の事。
ドッキリみたいなもんだから、もちろんとしみつには伝えてなくて───…

新しいカーテンを見に行くと言うとしみつを尾行してやっとの思いでカメラに映し出せた時に、たまたま一緒に居たのがAちゃん。

俺ら的には、としみつが彼女とデートしてる面白い映像が撮れた気がして、オチ的なのも

としみつ
「…あぁ、じゃあ彼女も映ってるのかぁ。」

ちゃんと撮って、撮影終わりって事でその日は帰った。
そんな夜、久しぶりにAちゃんからのLINE。

Aちゃんてつやくん久しぶり!明日って昼間忙しい?話したいことがあるねん。時間作って貰えへんかな?


何かあったのかな？なんて思いつつ、明日の予定は編集が貯まってる位で皆と集まる予定も特になかったので家に誘うと、仕事でまたアンケート回収があるから終わったら行くと返信があったので、分かったよと返してその日は終わった。

次の日迎え入れたAちゃんは切羽詰まったような顔をして、

『…昨日撮った動画、出さんといて貰えへんかな？』

てつや
「えっ？！」

俺は何でこんなこと言うのか分からず、そんなリアクションになると

『も、もちろんタダでとは言わへん、きっとこんなの全然足りてへんの分かってるけどこれ…』

そう言って、鞄から茶色い封筒を取り出しスッと俺の前に置く。
俺はその厚みのある封筒を何だろうと確認すれば、まとまった束が３つとバラバラになっているけど、きっちり10まいずつつになっている、生きていく為に必要不可欠な紙が出て来て…

てつや
「………ちょ、これ、何？」
『…た、足りないのは分かってるねん、けどこれが今ある私の全財産で…』
てつや
「いやいや、受け取れん受け取れん！待って？何でこうなった？！」
『…私にはこれ位しか出来へんから。』


そう言って、イスから立ち上がり床に膝をついたAちゃんは額まで床に擦りつけて

『…お願いします、出さんといて下さい！』

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