ピーチメルバ JN (ページ9)

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「あと1時間は帰ってこないかな」
「そうなんですね……って、え？！」
「どうしたの？」
「もうひとり、あの女の人、友達です…」
「え…マジで？うそ、こんなことある？ジョングギのスピードについていける女の人、初めて見たよ」

男性は楽しそうにヒャッヒャッとおかしく笑ってるけど、私は彼女のスケートの腕前にちょっと、いやかなりビビっている…こんなにプロだったとは…。びっくりだけど、ソラが楽しそうならいいか。

「あのっ、スケート教えてください！友達と、今度来たときは一緒に滑りたいです…」

あそこまで滑れなくても少しは滑れるようになりたいから、私は男性に教えてもらうことをお願いして、それから彼のスケートレッスンが始まった。

私の手袋を握って、「かわいすぎてうさぎの頭潰せないよ」なんてちょっとサイコパスみたいに笑いながら言うけど、それでもいいと支えてもらった。

厚手の手袋越しにも伝わる彼の力が心強い。

「いくよ？まず、滑ってるっていう感覚を覚えよう」
「はいぃ…」

手を持たれ、後ろを確認しながら私を引っ張っていく。すごいな…後ろ向きで滑れるなんて、って気取られてたらまた、うわ！とバランスを崩して仰け反る。

「大丈夫だよ？僕が持ってるから」
「はい、すみません」
「ほら、下見ないで！前前前！」

足元ばっかり見てるのがダメなんだ、前見ないとバランスが取れないよって教えてくれる。

いや正直、顔上げたら近くにすごく整った顔があって…なんというかとてもどこを見たらいいのかわかんないんだけど、

「ほらーまた下見てるぞ？！僕の目、見てて」

…勘弁。

はち切れそうな心臓にため息をついて脱力すると、彼が握った手をぶんぶんと振って、「どうしたー？まだまだこれからだぞー」って顔を覗いてくる。