ピーチメルバ JN (ページ3)

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昼間から歩いてるからちょっと疲れてるけど、こんなに綺麗で楽しい街を歩くのなら苦じゃない。
スマホで地図を見ながら歩いていく。右の角を曲がったところで、さっきよりも人々のガヤガヤとした声が大きくなった気がした。

「うわぁ…」

見ると、街中に大きなスケートリンクが出来ていて、家族連れだったりカップルたちがスケートを楽しんでいるようだった。

まぁ、私にはスケートは無関係な話である。
早くケーキを予約して帰ろう帰ろう〜……ってあれ、ソラが居ない。

「あーちょっとソラーー、早くしないとお店閉まっちゃうよ？」
「…そっか、ごめんごめん」
「うん」
「…」

気付いてる。気付いてるよ私、ソラがスケートに未練タラタラで一歩進む度に後ろ振り返ってるの。

「やりたいの？スケート」
「うっ……でも、ケーキ…」

図星をつかれて、子どものように眉を下げてスケートを楽しんでる人を見てる、そんな姿を見ちゃったら私もそこまで鬼じゃないからやらせてあげたい、けどケーキ…。

「ケーキ、明日の予約で間に合うかな？」
「わかんない…」
「私、明日予約してくるよ。スケートやる？」
「いいの？！」
「うん、ずっとそんな悲しそうなソラ見てるくらいならね？」

そんなわけで予定変更。スマホをポケットにしまってから、嬉しそうに私の手を引く彼女の後ろ姿を見て、いつもの頼れるオンニなソラはどこに行っちゃったの？ってこっそり笑った。

でもな…私はあんまり運動が得意じゃないから、正直滑れるか不安だった。無邪気なソラの笑顔を見ちゃったらそんなこと言えないんだけどね。
しかもスケートなんてするつもりなかったから、結構お気に入りの服着てるし、絶対転ばないぞ。

スケートなんて、したのいつぶりだろう…。小5のときとかかな、お母さんの地元に帰ったときにやったんだけど、全く歯が立たなかった記憶がある。

そんなことを思いながらスケート靴に足を突っ込んで、長い紐を地道に結んでいく。

「Aー、まだー？」

やる気満々のソラはさっさと履いて、膝当てまで装着済みだ。私も先にサポーターを付けておけばよかった。

いつまでもモタモタしている私に待ちきれなくなったのか、ソラが膝と肘のサポーターを取ってきてくれる。「ヘルメットいるー？」って聞かれたけど、子どもじゃないし流石にそこまですっ転ぶことはないよね…？って思って断った。