6話：事件 ページ9
そこにいたのは愛らしい子猫だった。
「にゃぁーん。」
その場にへなへなと座り込む私に、きゃっきゃとはしゃぐ母。
心配して損した...。
「この子の可愛さが事件級なの〜っ！！」
『え、あの、私がわざわざ東京から来た意味は？』
「知らないわよ。言おうとしたのにAが電話切ったんでしょ。」
正論だ。何も言い返せない。
子猫を見つめて微笑む母。
数年前までは母が笑っているところなんて見たことがなかった。
そう、母はここ数年の間に転職したんだ。
今までとは違い、母に余裕が出来たのが大きな理由だろう。
転職してくれて良かった。
「ねぇねぇ。この子飼っちゃう？」
『いいんじゃない？でもちゃんと世話しなよ？』
なんてどちらが母親なのか分からない会話をして、子猫に目線を落とす。
綺麗な白い毛並みに、青色の瞳。
『可愛い。』
「でしょ！？名前何にしよっかなぁ〜。」
『う〜ん...。』
見たところ女の子、だよね。
白い毛並みに、青色の瞳。
『アリスとかは？』
「いいわね！アリスにしましょう！」
頭の中にパッと不思議の国のアリスが浮かんだ。
母の賛成により、その子猫の名前はアリスになった。
結局何をしに来たか分からない実家帰省？は、１日で幕を下ろした。
母と雑談をしたり、アリスの写真を取ったり。たまには地元に帰るのもいいかな、なんて思った。
再び新幹線に乗り込み、なんとなく動画サイトを開く。
あ、りうらの歌ってみたでも聞いてみよっかな。
そう思い、私はりうらのチャンネルを検索して、一番最近の歌ってみたを再生する。
中学の頃と変わらない、綺麗な歌声が響いた。あ、ちゃんとイヤホンしてるからね？
りうらが歌っていたのは失恋ソングで、付き合っていた恋人を突き放すような歌詞が多くある。
あ、ヤバい。泣きそう。
曲とりうらの歌声に感動して、目から涙が出てこようとするのを必死で防ぐ。
「...あの。大丈夫ですか？」
そう優しく私に声をかけてくれたのは青髪の紳士そうな男性。
『あ、すみません。ちょっと感動しちゃって...大丈夫です。』
軽く笑みを浮かべながらそう答えると、男性はフワッと笑って窓の外に目線を戻した。
うん、イケメンだ。スーツ姿だし、出張とかかな？
そう思いながら東京に着いたので席を立ち上がる。
「先どうぞ。」
『あ、ありがとうございます。』
どこまでも紳士な男性。
けど、１つ思った。
身長高くない？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Near(プロフ) - Kinyari*さん» 結瑠さんお久しぶりです🙌🏻こちらの作品を検索避けするの忘れてました💦ご丁寧にありがとうございます！すぐに訂正させていただきます😊 (2023年4月25日 22時) (
レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
Kinyari* - 久しぶりに来たのにこういうこと言うのまじで申し訳ないんですが、タグとタイトルの一部を検索除けのものに変えてもらってもいいですか…？詳しくはこちらhttps://uranai.nosv.org/u.php/novel/knskyk1/ (2023年4月22日 16時) (レス) id: 88e6604fc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kinyari* - 久しぶりです！この作品で一番最初にコメントしてた結瑠です。 (2023年4月22日 16時) (レス) id: 88e6604fc1 (このIDを非表示/違反報告)
Near(プロフ) - えある。さん» ありがとうございます…！かたつむり更新の掛け持ち常習犯ですが、応援していただけると嬉しいです🥺ずっと見ててください（？？） (2023年4月1日 18時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 神。すごいですね!!ほんと、、、ほえ？語彙力？なぁにそれおいしいのぉ？wwwずっと見ます。ずっと見てます。ありがとーございます!!w (2023年3月30日 15時) (レス) @page20 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Near x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年8月20日 20時
