11話：不安 ページ14
『え...？』
私が腑抜けた声でそう返すと、りうらは目を見開いた。
他のみんなも、そんなりうらと私のやりとりを不思議そうに見ている。
「っ...ごめん。ちょっと頭冷やしてくる。」
りうらはそれだけ言い残して、走り去っていった。
ほんの一瞬だけど、りうらが泣いているのが視界に入った。
呆然と立ち尽くす私。
だめだ。このままじゃあの頃と変わらない。
『...私、りうらのこと追いかけてきます！」
「待って！！」
桃瀬さんに呼び止められ、走ろうとしていた足を止める。
「りうら、多分だけど公園にいると思う。」
『...わかりました！ありがとうございます！』
一度お辞儀をして、公園のある方向へ走り出す。
公園に着くまでの間、りうらに電話をかけてみる。
けれど、りうらが電話に出る気配はない。
しまいには「おかけになった電話番号は＿＿＿」と流れてくる始末。
私はスマホをポケットにしまって、一直線に公園を目指した。
『....りうら！！』
数分間走って、ようやく公園に着いた。
そしてベンチに一人で座っているりうらを見つけた。
私が声をかけると、りうらは目元を擦ってから顔を上げた。
そしていつもと変わらない笑顔で私の方を見た。
「どうしたの？」
『だ、だってりうらが泣いて「ほら。みんなも心配してるだろうし、早く帰ろ？」
『あ、うん...。』
りうらが私の話の途中で割って入ることなんかなかったから、少し驚いてしまった。
そして上手く丸め込まれた気がする。
結局、りうらと一緒に帰ってる時も言いたいことは言えなかった。
ただ、気まずい空気が延々と流れているだけ。
「あ、りうら。天野さん。大丈夫だった？」
「うん。」
『...はい。』
その日は日も暮れかけていたし、他のみんなと連絡先を交換して解散することになった。
家に帰ってからりうらとちゃんと話したくて電話をかけたけど、
「ごめんね、大学の講義の復習しないと。」
そう言って切られてしまった。
明らかに私と話したくなさそう...。
ちょっと悲しい、そう思いながら私も講義の復習をしようとノートを開く。
このままりうらと話せなくなったらどうしよう...。
そんな不安を抱えながら講義の復習なんてできる訳がなく、２０分で挫折した。
多分、不安を抱えてなくても３０分程で挫折していたと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Near(プロフ) - Kinyari*さん» 結瑠さんお久しぶりです🙌🏻こちらの作品を検索避けするの忘れてました💦ご丁寧にありがとうございます！すぐに訂正させていただきます😊 (2023年4月25日 22時) (
レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
Kinyari* - 久しぶりに来たのにこういうこと言うのまじで申し訳ないんですが、タグとタイトルの一部を検索除けのものに変えてもらってもいいですか…？詳しくはこちらhttps://uranai.nosv.org/u.php/novel/knskyk1/ (2023年4月22日 16時) (レス) id: 88e6604fc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kinyari* - 久しぶりです！この作品で一番最初にコメントしてた結瑠です。 (2023年4月22日 16時) (レス) id: 88e6604fc1 (このIDを非表示/違反報告)
Near(プロフ) - えある。さん» ありがとうございます…！かたつむり更新の掛け持ち常習犯ですが、応援していただけると嬉しいです🥺ずっと見ててください（？？） (2023年4月1日 18時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 神。すごいですね!!ほんと、、、ほえ？語彙力？なぁにそれおいしいのぉ？wwwずっと見ます。ずっと見てます。ありがとーございます!!w (2023年3月30日 15時) (レス) @page20 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Near x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年8月20日 20時
