金魚鉢。 (ページ35)

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３５─JMN side─ ページ35

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いらっしゃいませ～！ご注文は？
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「コーヒー１つ。あー、今日オーナーさんは？」

店員
『ナヨンオンニなら今買い出し中ですけど…』

「え？いや、オーナーのAさんは？」

店員
『え、それって前のオーナーですよ？』

「...はい？」

店員
『Aさんは１週間位前で辞めましたけど？』

「...え、あ、いや、すいませんでした。」

店員
『はぁ、ありがとうございました？』

どう言うこと？

何も聞いてないんだけど...

不思議がる店員を尻目に、
焦った俺は車に戻りながら
電話を掛ける。

プップップッ...
(この電話番号は、現在使われておりません。)

頭が真っ白になる。

意味が分からない。
２週間前に一緒に過ごした時、
特に何も変わった様子はなかったはず。

TH『...ジミナ？どうしたの？』

「...、」

呆然とする俺を心配してテヒョンアが
声を掛けてくれてるけど、

この状況を言葉にしたいのに、
なかなか声にならなくて...

TH『...アイツと何かあったの？』

その質問に頷くことすらできない俺。

それでも、こんな時でさえも、
山のようにあるスケジュールは俺を
休ませてはくれなくて...

宿舎に帰れたのは、深夜２時過ぎ。

居てもたっても居られなくて、
Aの家にこっそり出掛けた。

合鍵を使って家に入ってみたけど、

そこで俺を待っていたのは、

ガランと静まり返ってもぬけの殻に
なった部屋。

『...どう言うこと、これ。』

その声にハッとして振り返れば、
心配して後を付けてきたのか
テヒョンアが立ってて...

TH『...ジミナ、心当たりは本当にないの？』

分からない、そう言って
うなだれて首を横に振ることしか
出来ない俺の隣に、

そっか、とだけ言うと黙って
座り込んだテヒョンア。

何も残ってない部屋なのに
Aの残り香だけが残ってて、
それがまた苦しい。

何があったの？

どこに居るの？

俺のこと嫌いになったの？

聞きたいことはたくさんあるのに
それさえも出来ないなんて...

「...もう、いいや。帰ろ？」

俺がそう言うと、俺よりもずっと
苦しそうな顔してるテヒョンアが目に映る。

TH『...それでいいの？』

「それでいいも何も、仕事はオーナー変わってる、家はこの有様、電話は番号変わってる…この状況で俺にどうしろってんだよ...」