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───────────…
──────…
『はぁっ…はぁっ…A…』
「っ、はぁっ…はぁっ…きみ、たか……」
────────…
───…
息も絶え絶えの中、
溺れてしまう程の涙が、
止め処なく溢れる。
「...きみたか?」
『っ、…ちょ、こっち見ん…といて。』
それは、寂しいだけの
冷たい涙なんかじゃなくて、
少しの寂しさと、
少しの後悔...
そして、
やっと素直になれた嬉しさと、
互いの想いが通じた喜び、
いろんなものが入り交じったそんな“水”。
今まで幾度となく泳いできた金魚鉢なのに、
心まで温かくなったのは初めて。
『ははっ、…かっこ悪ぅ、俺。』
そう、
笑いながら涙を流すから、
私も、その腕の中で一緒に笑う。
私と裕くんは年甲斐もなく、
寝る間を惜しむかのように夜通し話をした。
こんなにたくさん話したことあったかな?
本当にこれで終わりなの?
そう思ってしまう位、
穏やかで幸せな時間...
1秒1秒、心に刻み込む...
──────────…
────…
そして、翌朝────…
「...じゃあ、私…行くね。」
『...なぁ、』
「ん?」
『..いつかお前言うてたやん?
ファンってだけじゃ俺の目に映ることはないって。』
「...うん。」
そう、これが“本当の最後”───…
このドアを出たらもう、
私と裕くんの視線が交わることはない。
“ばいばい”、そう言ってしまえば
もう言葉を交わすこともない。
アイドルと、
その他大勢のファンの中の1人…
元の形に戻るんだ...
『そんなこと、...ないから。』
「...え?」
『...お前がまた
俺の事観に来てくれたら、
絶対、見つけたるから。
..俺の目に絶対に映したるから。
だから…だからっ、』
「うん、...裕くん、ありがとう。」
『...A、、』
じゃあね、
「『...ばいばい。」』
パタンッ…
終わりだよ...
部屋のドアの閉まる音が、そう告げる。
これでいい、
これで良かったんだと空を見上げれば、
いつもより陽射しが眩しく感じて..
視線を戻したその先に、
「...なん、で。」
JM『..どうなったのか、聞く権利位は残ってるかな?って。』
そう言って、
へへへっ、と優しく笑うジミンさんが居た。
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作者名:ぽん | 作成日時:2019年10月2日 16時