スカートでもバク転させて！２ (ページ48)

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《A》

ため息つきながらそう吐き捨てた風雅

目が合ったと思ったら車両の隅っこに引っ張られて、あたしの顔の横に手をつく

「…え…風雅…？」

風雅「警戒心とかなさすぎやねん！あんなとこ1人でいんなって！」

苦笑いで風雅に問いかけると遮るように言う風雅

「ご、ごめん…変装もせず…」

声は怒ってるけど眉毛が下がってて、必死さが伝わる

風雅「そうじゃなくて…だからっ…あ～もう！

女子なんやから！女子としての！警戒心！！」

てっきり身バレのことで説教されてると思ってたから、純粋にあたしのことを心配してくれたことに驚いた

久しぶりの女としての待遇になんだかむずがゆくなる反面、心配をかけてしまった申し訳ない気持ちでどんな顔すればいいかわからなくなる

「…ごめん」

風雅「…いや、…良かった…間に合って。」

改めて謝ると、冷静さを取り戻すかのようにあたしから離れていくと
背もたれのところから片手で器用に椅子を出す風雅

そのまま座ったのであたしも何も言わずに座る

いつか2人っきりの楽屋で話した時みたいに。

2人の間は拳1個分あいてて、

その間には、走るときからずっと繋いでる風雅とあたしの手がある

触られた感覚を上書きするように強く握られた手

4つも下の高校生に安心するってよっぽど参ってるんかな

あたし達が乗った電車は各駅停車のようで、人気のない見知らぬ駅に停車してる

「…なあ」

風雅「ん…」

「風雅、なんで来てくれたん？」

風雅「え…あ、あー…」

「もうあの後帰ったと思ってたから…駅に用事でもあったん？」

風雅「そ、そう駅に用事あってん」

あたしがそう言うと早口で答える風雅

「たまたまでもいてくれてよかった…ありがとうな」

笑ってそう言うとなにか言いたげな顔をする風雅

風雅「…ほんまは」

「んっ？」

風雅「…ちゃうねん、ほんまは

言いすぎたから…謝ろうと思って追いか、けた…」

どんどん声がちっちゃくなっていって最後の方はなんて言ったかよく聞こえへんかった

「風雅…ううん、あたしが悪かってん。
実際意識低いように風雅には見えてたってことやもん」

風雅「ちゃう、Aちゃんなんも悪ない。」

風雅がこっちを見て目が合ったと思ったらすぐ逸らされた

なら、なおさら怒ってた理由がわからなくなって風雅を見つめる