スカートでもバク転させて！２ (ページ24)

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《長尾》

その日も振付師さんに怒られてめちゃくちゃ落ちこんでた。

長尾「うわ最悪、ケータイ忘れた…」

いつもなら地味にだるく思うことも今日は一段と嫌に感じる。

重い足取りで、来た道をまた歩く

レッスン室に着くと、まだ電気がついてた。

誰かまだ残ってはるんかな？

そう思ったけど、部屋には誰もいいひんかった

ケータイだけ取って、電気消して帰ろうと部屋から出ようとしたら

「おわっ！びっくりしたぁ…あれ、長尾くん
忘れもん？」

長尾「あ、ちょっと、ケータイ…」

まだレッスン着のままのAちゃんに出会った

残って練習してたんかな？

「そっかそっか…

あ、おめでとう！今回、オープニングのメンバー選ばれてたやんな！」

長尾「あ、うん…まぁ」

「しかもフロントやったし！ファンの人にもいっぱい見つけてもらえるな！」

長尾「……。」

屈託のない笑顔で祝ってくれるAちゃんの言葉に素直にお礼が言えへんくて、黙ってたら

「…長尾くん？嬉しくないん？」

長尾「…僕のファンなんかいるんかなぁ」

気づいたらそんなこと口に出してた

長尾「…ダンスも歌も全然上手くないし、
なんなら僕より全然前に立つべき人いるのに

こんな僕の事応援してくれる人なんかいると思えへん

僕が前で踊る理由がわからん…」

あぁ、

なんか今日は最悪の日やなぁ

振付師さんにみんなの前で怒られるし、

ケータイ忘れるし、

かっこ悪いとこ見られるし、

しかも女子に弱音吐くとか。

自分でもびっくりした自分の本音に

こんなに考え込んでたんやって思わされる。