スカートでもバク転させて！２ (ページ40)

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《永瀬》

あいつは〝会いたい〟とか、〝好き〟とか素直に言いよる

それに下心とかなんもないのはわかってる
俺にだけの特別なものじゃないのもわかってる

だからこそ、そんなことを簡単に言いまくってるあいつが嫌やった

でも今なら

俺も素直に言える

昔感じてた嫉妬も

電話越しに感じるあいつへの愛おしさも

全部同じとこからきてるってわかった

「…俺も会いたいよ。お前に。会っていっぱい喋りたい。」

［珍しいやん(笑)］

「うっさい。…お前はどーやねん」

［え?だから会いたいって…］

「そーやなくて、俺にってこと」

［あ、単体?どうしたん、そんなん言うキャラ?(笑)］

「だる。もーえーわ!!」

それから少ししてお互い次の日も仕事やからって電話は終わった

今思えば、いつだってあいつは俺の特別やった

だから俺もあいつの特別になりたくて意地張ってたんや

あっさり入ってくる自分なりの結論からは、時の流れと自分の成長が感じられる

別に、関係を変えたいとかじゃない

お互いの仕事のこともあるし、なによりそんなことあいつが絶対望んでないし

言ってしまいそうなときもいっぱいあった

時にはあいつの鈍さに苛立つこともあった

あいつの特別になるのはまだまだやな

なんせ周りにはうじゃうじゃ邪魔もんがおる

そんな気持ちに気付いたその日は自分でもビックリするくらいよく寝れて、目覚めもよかった

それからどんどん仕事が上手く進んでって、ついにデビューが決まった

電話する暇もなくなってた

だからせめてあいつがこっちに来るときは、
1番に俺に連絡させようと思った

ホテルなんかとらんくても俺の家に泊まればいい

そしたら電話越しじゃなくて、直接話せる

あぁ、俺って意外と重かったんや

そんなこと思いながら東京に来てもう3年経つけど、未だにあいつは泊まりに来てない。