４５ ページ24
「うーんと、リード、リード…。」
悩みがぶつぶつ声に出てる。
で、その後ぐいっと俺の手首を掴むと
「ああもう…っ、絶対今日したいから、ここ！」
「うわっ。」
そのまま勢いよく一緒にしゃがまされた。
「ここなら誰にも邪魔されないから。
阿部ちゃんもっ、覚悟しといてよ。」
何の…、って聞きかけて。
キスのか、となり、また顔が熱くなる。
「、うん。」
少しして花火が打ち上がった。
青に黄色、ピンクに緑。
形もオーソドックスなものから星形まで。
あ。
あれは…ハートかな。
少し先のカップルが嬉しそうに指差すのが見えた。
その瞬間、地面に投げ出していた指先に何かが触れた。
見れば、佐久間の男らしい節くれ立った指だった。
そしてそのまま顔を上げて佐久間の顔を見れば
「っ、」
そんな真剣な目で見つめられてるとか、思ってなかった。
そっと顔が近付いてくる。
俺はそこから目が離せなかった。
ああでもキスするんだって思って、静かに目を閉じた。
少し遠くに聞こえる人のざわめき、歓声。
打ち上がり続ける花火の音。
それから。
暑い夏の気温の中でも唇を介してはっきり伝わる、佐久間の熱。
「…しちゃったね。」
重なっていたものが離れれば、へらりと照れくさそうに笑われた。
けど、
「まだ…、花火やってる。」
「え？」
佐久間の浴衣をくいっと引っ張った。
「ん、」
触れるだけなのに、なんでこんなに幸せが胸をぎゅうっとするんだろう。
切ないのか甘いのか分からない何かが込み上げるように苦しくて、ズキズキと痛くて、でもいつまでも溺れていたくなる。
「はっ…」
２人して息を吐き出した。
キスの間の息をどうしたら良いのかは…、これから練習？
そう思ったら今度はまた佐久間からキスをされた。
結ばれてめでたしめでたし。
と終わったかに見えた物語。
でもどうか。
この物語の幸せな続編が、何冊分も永遠に続きますように。
佐久間の熱を感じながらそう願った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ryolinzu(プロフ) - 書き手2周年、おめでとうございます。「貴方に一つ願うこと」を読んでファンになり、個人的には「えっ？！まだ2周年だったの？」と驚くほど、濃密で幸せな時間を過ごさせていただきました。いつも幸せで素敵な作品、ありがとうございます。これからも応援してます。 (2023年1月2日 1時) (
レス) @page31 id: 9f7a1f2360 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - 檸檬茶(レモンティー)さん» ただきました！尊いだなんて嬉しいですー！！そして檸檬茶様もご自愛くださいね。年の際の際までskabちゃんを楽しみましょー！ (2022年12月28日 22時) (レス) id: 829da725a0 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - 檸檬茶(レモンティー)さん» 読んでくださってありがとうございます！シスターabさん絶対可愛いですよね…。そしてずぇったい着せるなら白だわ…と、ネットを徘徊して確信致しました。そしてabさんの彼氏としてのskmさんに夢見てる(スパダリと信じている(笑))私なので、ちょっといじめつつ愛でてい (2022年12月28日 22時) (レス) id: 829da725a0 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬茶(レモンティー)(プロフ) - 最近急激に寒くなりましたね！しかも年末でお忙しいかと思われますがどうか御身体を大切に…。ご自愛ください。何度でも言いますがいつも素敵な作品をありがとうございます!! (2022年12月28日 1時) (レス) id: 294854976d (このIDを非表示/違反報告)
檸檬茶(レモンティー)(プロフ) - クリスマス編非常に最高でした…！！！それにしてもシスターabちゃん可愛すぎませんか…。天使(シスターですが)が舞い降りて仕舞いましたね！可愛すぎていじめちゃうSっ気のあるskmさんも最高で本当に葉子先生の書かれる仲良しのskabちゃんが尊すぎてもう死にそうです。 (2022年12月28日 1時) (レス) @page40 id: 294854976d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葉子
| 作成日時：2021年8月15日 21時
