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後悔の形▼side a ページ40

昨日、佐久間に話を聞いてもらって少し心が軽くなった。
分かるよって言ってくれる人の存在ってすごく救われる。
佐久間がラウールを悪く言わないところも大きかったと思うんだよね。
すごく悔しいけど、それはラウールが何か悪かったってわけじゃない。
嫉妬したからと言って酷いこと言いたいわけでも無い。
そういう微妙なところまで汲んでくれたところが有り難かった。
そんなことを思いながら局の廊下を歩いていると


「阿部さん。」


って後ろから声をかけられた。
振り返れば噂をすればなんとやら的にラウールがいた。


「おはよー。」
「おはよう。」



うちのアナウンス室、結構フランクな雰囲気なんだよね。
だから後輩のラウールも阿部さんって呼んでくれてるけど挨拶はこんな感じ。
俺も大尊敬する先輩を翔くんなんて呼ばせてもらっているし。
外部向けには勿論櫻井さんだけど。


「ちょうど会えて良かった。」
「何かあった？」
「これに誘いたいって思ってたんだよね。」


スマホを操作する姿を見ていたら該当のページが見つかったのかこっち側に画面を向けられた。


「中国アニメーション？」


見たことないし、ラウールこういうの好きだっけ？


「そう。
中国で人気だから今度日本語版を上映するんだって。
すっごい映像綺麗らしくて、ね、試写一緒に行かない？」


無邪気に誘ってくれる姿に昨夜までの自分を思い出してちょっときまりが悪い。
だけど折角誘ってもらったし、今まで興味をもったことは無いジャンルだけど、無いからこそ見てみる価値はあると思う。
画像を見ただけでも日本アニメーションとはまた違う美しさがあるのは伝わってくるし。
もしかしたら担当ラジオで紹介することもあるかもしれないしね。


「うん、行こ。
見てみたい。」
「やった。
俺これから打ち合わせがあるから、後で試写の日程送るね。」
「分かった。」


じゃあ行ってくるー！またね、と手を振りながらラウールは会議室がある方へ向かって行った。
それにしてもどんなストーリーなのかは全く分からずオッケーしちゃった。
画像の感じからして恋愛要素とファンタジーの掛け合わせかなという感じはしたけど。

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