褪色する春＿skab

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佐久間の家に泊まるなんて想像もしなかった出来事から二日。
朝のワイドショーでは桜の蕾がピンクに色付いたと言っていた。
もうすぐお花見シーズンか。
今年は姉ではなく俺が、佐久間の隣で桜、見れたりして。
えへへ。
それも悪くないとか、ああ、俺何考えてんだろ。
資格試験勉強用のノートに突っ伏す。
恥ずかし。
…でも、実現したらいいな。
夢見がち過ぎ？


「あっ。」


そんなタイミングで佐久間からのLINE。
すぐさま通知をタップ。



おっはよー！
今何してる？
昼飯一緒に食わない？



突然のお誘い。
でも今日の予定は塾のバイトだけだから昼は何も予定が無い。
ってのを二秒で脳内に思い浮かべて即返信。



おはよう。
今は資格試験の勉強中。
塾まで予定無いから一緒にご飯食べよう！
どこにする？



よし、予定変更。
着心地重視なこの服から今すぐ着替えないと。
…あ、でも塾だからスーツか。
うーん。
ちらりとクローゼットの方を見る。

一回、帰ればいいかな。
だって折角佐久間と会えるのにスーツはなんとなく違う気がして。
今のこのそわそわとワクワクに合う服が、きっともっとあるはずだから。


「んー、」


服を選びつつ、LINEも返して約束の時間や場所を決めていく。
髪だってとかしてはあったけど、ちゃんとセットし直さないと。
そんなこんなでバタバタと、いや焦らなくても全然平気な時間だったんだけどなんか落ち着かなくて、結果意味もなくバタバタと準備を済ませた。





「あ、阿部ちゃん。」


お店に着いたらもう佐久間がいた。
その姿を見つけた瞬間自動で自分の顔が笑顔になるのが分かる。
お待たせと言って佐久間の向かいに座れば、頬杖をついてニパっと微笑まれ、


「んーん、俺も今来た。」


だって。
なんだか恋愛ドラマで聞きそうなセリフ。
それを佐久間が俺に言ってるなんて、恋の神様とやらが今俺にキャンペーンでもしてくれてるんじゃないかとかあまりにも非科学的なことを考える。
だってこんなことが起きるなんて、世の中のどの公式を当てはめても導き出せやしなかったはずで。

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