REBORN ―己の使命。そして存在―弐 (ページ38)

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祈りページ38

貴「こんな人殺しであふれたどうしようもない世界なんかで…生きて行きたくなんてない!!!」

そう叫んだ。叫ばずえなかった。

悲痛の叫びとともに涙もあふれ出し、とまらない。

何処までも、深い闇に呑まれていきたかった。いっそのこと、そのまま何の感情もなく死んでしまいたかった。

そんな思いを込めて…

？「そんな中でも、お前は今まで生きてきた。こんな血濡れて、野蛮人が多い世界で、お前は何を見た。絶望だけか。絶望だけの世界で、お前は今まで生きていたのか。それは違うだろ。傍にはずっと、誰がいた。」

貴「…。」

そう言われ、一番最初に頭に浮かんだのは兄さんだった。

任務の時とか以外、ずっと私の傍に居てくれた人物だった。

次に浮かんだのはベルだった。

兄さんがいない時、寂しかったらずっと一緒に居て遊んでくれたし、いろんなことを教えてもらった。

スクアーロも、マーモンも、ルッスもレヴィおじさんも。

するとそいつはまた口を開いた。

？「確かに、殺人が立て続けに起こる、どうしようもない世界だ。それは私だって分かっている。しかし、そんな中でもお前の足で、今まで進んできただろう。お前のその手で光を掴んでいただろう。お前は一人なんかじゃない。」

風が吹く。春を誘う風のように、大きな木を揺らす。

緑の葉が散り、太陽の光を浴びてキラキラと輝く。

素直に、きれいだと思えた。

？「…お前が思っている以上に、世界は広い。お前が思っている以上に世界は明るい。そして、お前が思っている以上に、お前は強い。」

貴「…戻れるかな。」

？「大丈夫だ。一つだけ方法がある。」

貴「方法…？」

そいつの顔が私の顔の目の前に来る。

そしてポツリと吐き出された単語、それは…

？「祈れ。かつての姫君が仲間を守る唯一の方法のように。」

貴「いの、る。」

？「帰りたい、と。強く願え。まだ間に合うはずだ。」

ネックレスはなくても、たとえ自分のためだろうと、祈ればいいんだ。

貴「…帰りたい。」

祈りも何もなしに、いつの間にか本心がそうつぶやかせた。

それが、きっと無意識の祈りだったのだろう。

風が強くなる。

そこに居たそいつはまるで藁の山のように風に吹かれ、徐徐に消えて行く。

そして気付いた時には…周りは真っ暗な夜の学校になっていた。

―――

ツ「スクリーンが……」

リ「戻った…。」

さすがのリボーンも、驚いているな。

しかし、俺も驚きだ。

悪夢に打ち勝つとは………。