REBORN ―己の使命。そして存在―弐 (ページ36)

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黒の霧ページ36

ツ「黒の…霧………？」

祐「あぁ…。まさかこんな所でお目にかかるとはな…。」

山「どんなもんなんだ？」

祐「あの霧に囲まれた場合、よっぽどの精神力を持っていないと霧とともに消失するだとか…あくまでも噂だ。中から出てこれるものも少なく、また出てきたとしても霧の中の記憶はない。」

世話になったことはないが、結構有名な話だった。

アイツは大丈夫か……？

―――

――お前は何のために生きている…？――

耳元で発せられた声にビクリと体を震わせた。

結局全身、硬直したかのように動かなくなってしまった。

しばらく経てば動くだろうと思っていたが、むしろ重症化する一方だった。

そして今のような幻聴か何かに悩まされている。

きっと男だろう声で、年齢は全く分からない。ただ、その声に深い闇と悪意が込められているのは確かだった。

貴「誰だ!!姿を…」

――見捨てられたお前が、何故生きている？――

私は目を見開いた。

しかし、私はあくまでも強気だった。

貴「…ﾊｯ、誰が見捨てられた？兄さんはそんなことしない。分かってるさこの銃だって、私の手で返すんだ。それよりも、お前は誰だ。」

――お前の兄はお前を見捨てたぞ？――

貴「は…、何言って…」

――そうでなかったら、何故見ず知らずの人間…それも半獣を仲間何かに、よりにもよって姫君に。――

貴「う、うるさい!!!」

――捨てられたんだよ。お前は。――

貴「黙れ!!!」

――その強がりは、誰のせいだ？――

貴「ッ…!!」

そうだ、よく考えればわかる事だったじゃないか。

私は捨てられないために強がってた。

でも、本当は強くなんてなかったんだ。

最初から必要じゃなかったんだ。

あぁ、忘れてた。全部、都合のいい夢って事にしておきたかったんだ。

いらなかったんだ。私はいらなかったんだ。

私はどん底に落とされた気分だった。そこに、魔の手は忍び寄る。

――私にはお前が必要だ。――

私が、必要…？

――そんな、どうしようもない世界など、どうでもいいではないか。――

そうだよ、こんなどうしようもない世界、いらないよ。

――仲間だとか、家族だとか、人生だとか。重たい荷を全て放り出して、こちらへ来い。何、一度だけ、少し逃げるくらいどう手ことはない。――

そうだよね。ずっと逃げないで我慢してきたんだ。

少しくらい逃げたってかまわない…。

――どうしようもない世界など捨てて、こちらへこいA――

魔の手は、忍び寄る。