REBORN ―己の使命。そして存在―弐 (ページ17)

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優しさページ17

べ「!…姫。」

マ「A…。」

貴「…何？泣いてないよ。」

そういって、微妙な顔を向ける。どんな顔してるか、分からない。

でも、泣いていない。それは確かだ。

チ「明晩の対戦は…霧の守護者同士の対決です。」

貴「明日、マーモン、か…。マーモン『なら』勝てるよね。」

平然に装った。

かなり、無理してくせに。

そんな私の腕を、ユーキが掴んだ。

祐「…。」

ユーキは黙ったままだった。でも、私は気付いた。

私の掴んでいた方の腕が、青くなっていることに。

祐「それ以上は、力を込めない方がいい。」

貴「う、ん…。」

くっきりと手の後が付いていて、自分でいうのもなんだが、不気味だった。

―ホテル―

私の部屋に、誰かが入ってきた。

私に気を使ったのか、ベルは一応怪我人だから病室で、マーモンも付きそいで病室で寝るとなって、部屋は私だけになった。

そんな、一人の私の部屋に。

貴「…兄さん…。」

ドアには兄さんが立っていて、他には誰もいなかった。

貴「どうしたの？そろそろ寝る時間じゃないの？」

ザ「…就寝時間過ぎてるだろ。」

…寝れるわけ、ないでしょ…？

貴「ちょっと本読んでてさ、今から寝ようとしたところ。」

私は嘘をついた。

兄さんはズカズカ部屋に入ってきて、私の前まで来た。

あの行動から泣きそうになっている事はバレばれだと思った。スクアーロも言ってた『甘い考え』を持ってるって怒られると思った。

すると、兄さんは急に私を抱きしめてきた。

ザ「…泣きたいならなけばいい。」

貴「？いや、平気だよ。」

ザ「顔が平気じゃねぇ。」

数秒してから、私は言った。

貴「泣いたら、…スクアーロに失礼だよ…。」

声こそ泣いて、涙こそ流して、それでも意思だけは強く保とうとして居た。

それはまさに、絶叫系が苦手な子供がジェットコースター乗り場で強がっているようなものだった。

貴「だから、…泣いちゃ、駄目なのに……駄目、なの、に…」

泣いてしまった。

声をあげて泣いてしまった。

貴「ねぇ、もう、会えないの…二度と、会えないの？」

しゃくりをあげながら、そう訊ねた。

答えは分かっていたのに、ありえなくても、幻でも、「きっと会える」って答えを期待して。無駄な、期待をして。

ザ「…わからねぇ。」

あえての答えだと思った。

兄さんの優しさだと思った。

今夜は、兄さんの優しさに甘えよう。

兄さんがいいと言ってくれているのだ、存分に甘えよう。

心の底から、そう思った。