REBORN ―己の使命。そして存在―弐 (ページ16)

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涙ページ16

べ「ぶったまげ。」

ベルが言った。私はそんな言葉も耳に入ってこない。

ザ「……スクアーロ、…ﾌﾝっ」

兄さんが、笑った。そう、笑った。

ザ「ざまぁねぇ!!負けやがった!!カスが!!!」

貴「兄さん…、」

ザ「用済みだ。」

貴「!!??」

やめて、お願いだから。お願いだから殺さないで。

そう言いたかった。

しかし、それを言う勇気がなかった。怖くて、捨てられるのが怖くて――――

チ「お待ちください。今アクエリオンに入るのは危険です。規定水深に達したため獰猛な海洋生物が放たれました。」

スクリーンに巨大な鮫が映った。

貴「ユーキ…!!!」

ユーキはうつむいて、数秒経ってから首を振った。…縦ではなく、横に。

山「やっぱな…んなこったろーと思ったぜ。」

相手側の…山本？って人がスクアーロを担いた。

貴「!!」

ツ「山本!!」

もしかしたら、生きて帰ってくるかもしれない。

そういう期待を込めた。

べ「なんだよあいつ。」

マ「まさか助けるつもりじゃないだろーね。」

獄「テメェ馬鹿かっ!!!」

なんで…？なんでそんなに早く切り捨てられるの…？

なんで？どうして？助かってほしいって、思わないものなの…？

山「普通、助けね？」

その言葉が頭に残った。

しかし、ある程度高さがあった立ち位置が鮫の突進によって低くなる。

ス「おろせ…。」

な、に…言ってるの…？

そんな体でおりたら鮫に食べられちゃうよ…？

ス「剣士としての俺の誇りを汚すな。」

そんなもの、どうでもいい!!

命の方が、大切でしょ!!??

言葉にはならない。言葉に出来ない。

山「でも、よ…。」

ス「う"ぉ"ぉい!!うぜぇぞ!!!」

そういうとスクアーロが山本？を突き飛ばした。

ス「ガキ、剣の筋は悪くねぇ…。後はその甘さを捨てることだぁ。」

そういった瞬間、スクアーロは…

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巨大な鮫の餌食になった。

泣いちゃ、駄目だ!!泣くな!!

自分にそう命令するが、うまくいかない。

服を掴んだ。握り締めて、なんとか涙を止めようとした。

しかし、所詮は布。薄すぎる。私の思いはこんなに薄いものじゃ、足りない。もっと、何か、別のもの…。

ザ「ブハーッハッハ!!!最後が餌とはあのドカスが!!過去を一つ精算出来た。」

そういって、兄さんは笑った。

別のものもこみあげてくる。

無意識に、私は右手で左腕を強く、とても強く握りしめていた。

痛みなど、すでに気付かないほどに…。