別にいいじゃない。執事より強くたって。 (ページ8)

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「ちょっとなによそれ。普通はお嬢様は褒めちぎるものでしょう？
そんなに恨みを持たれてもこっちが困るのよ？

私の執事でしょう…が…っ！」

目の前の男に向けて力強く拳をふるう。
こういうとこ私可愛くないな…

だがこういうときにこういうこと考える余裕はできた。

だがそれもヒラリとかわされる。
微笑つきで。

頭に血が上るのがわかる。
殺意に似た者が沸いてくる。

昔から喧嘩は得意だったから、基本は男でも勝てる自信はあった。
ボディーガードとかでも、隙をつけば倒せた。

それなのにこいつが来てからは私の中で常識が変わった。

力は強いわ、動きは早いわ、しかも余裕だわ、

当時の私はなすすべもなかった。

だからジムにかよったりして、こっそりと体力をつけていた。

この影山に勝つために。

今思えば馬鹿なことをしたと思うが。

「まったく…だから、基礎がなっていないといったでしょう？

身体はよく出来ているとおもいますよ、
脳以外は。
折角ですからもっとそれを有効に使うべきかと」

「知る、かっ」

もう一発、と体制を整えたところに影山の言葉が飛び交う。

それも私の怒りを増やすだけの。

私の反論も形だけのもの。すっかり彼のペースに持ち込まれた。
言葉責めとか卑怯だ。

ああだめだ。

いくら殴ろうとしても全部かわされる。

止められる。

宙でも舞うかのように簡単に攻撃をさばく。
赤子をあやすかのように私を諭す。

悔しい。