30 ページ30
・
「A！」
どれくらい経っただろう。
無意識に唇がぷるぷると震えてきた頃。
雨はやっと小雨になってきた。
むしろ、そのせいで身体が冷えているのだけれど。
近くで私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
意識が朦朧としていてよく聞こえない。
確かに私の名前なんだけど。
誰？
『じょ、んはん。ジョン、ハン、！』
必死に声を出してみるものの、ずっとじっとしていたせいで喉の奥がくっついているみたいだ。
ジョンハンという助けを求めて私はひたすらに名前を呼んだ。
「A…！」
『…スンチョル？』
声の主が近付いて、私の体をそっと包んだ。
ずっとジョンハンだと思っていた相手はスンチョルだった。
スンチョルはシャツが雨でピシッと身体に張り付いている。
雨の中傘もささないで探してくれたのかもしれない。
SC「ごめん。遅くなってごめん。」
『んん、ありがとう。』
SC「喋らなくていい。喋らなくていいから。」
スンチョルはギュッと私を抱きしめてくれた。
スンチョルだって濡れていて寒いはずなのに、彼は私に自分のジャケットをかけて抱きしめてくれた。
『あの、元彼が来てて。それで、』
喉がつっかえた。
なんて言えばいいかもわからなくて、とりあえず伝えなきゃと思った。
SC「ん、帰ろう。身体が冷える前に帰らなきゃ。」
スンチョルは私の肩を抱くとニコッと笑ってそう言った。
彼のペタッと張り付いた髪の毛からはポタポタ雫が垂れている。
連れてこられたのはスンチョルの家だった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1580人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
だんご(プロフ) - くすさん» コメントありがとうございます。すごくすごく嬉しいお言葉です😭最後までありがとうございました‼︎ (2023年1月25日 9時) (
レス) id: ff49ae3418 (このIDを非表示/違反報告)
くす(プロフ) - 唯一毎日更新を楽しみにしてた作品でした。スンチョルのお話あまりないので嬉しかったです。お疲れ様でした！ (2023年1月24日 20時) (レス) id: 1558d9da93 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - tyaiさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました！もうしばらくお待ちください。 (2023年1月24日 9時) (レス) id: ff49ae3418 (このIDを非表示/違反報告)
tyai - 完結お疲れ様です。最後まで素敵なお話をありがとうございました。次の作品楽しみに待ってます！ (2023年1月23日 23時) (レス) @page48 id: 4eebb26101 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - tyaiさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉です。必ず完走させますのでお待ちください。 (2023年1月18日 14時) (レス) id: ff49ae3418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だんご
| 作成日時：2023年1月12日 10時
