アンダルシア【SC】

23 ページ23

・





SC「Aって今日この後ひま？」


『うん、暇だよ。』


SC「じゃあ、映画行かない？見に行きたいのあるんだけど1人じゃ行けなくて。」




スンチョルが洗ったお皿を受け取って私がタオルで拭く。

2人で息を合わせるように綺麗なお皿が積み重なっていく。



そんな中、突然のお誘いだった。

素直に嬉しかったし、私も映画は嫌いじゃない。





『いいよ。私も行きたい。』




嬉しい気持ちを押し殺して何もないように返事する。

そんな私にもスンチョルはやっぱり優しく笑う。








・







SC「んぅ…今見ないで〜…。」




はぐれた犬が飼い主を求めて探し回る映画。

そんなありきたりな映画だった。


それなのにスンチョルは泣いていた。

泣いていたなんてものじゃない、目から次々と流れる涙。





『大丈夫？ㅎㅎ
犬の映画が見たかったんだね。』


SC「実家で飼ってるんだよね。めちゃくちゃ可愛いの。
ふわっふわだよ。」





両手で波を作りながらそうやって言うスンチョル。

いつも大人っぽい彼は、意外にも子供らしい一面が隠されていた。



スンチョル、映画とかで泣いちゃうんだ。

スンチョル、自分の飼ってる犬のこと、こんなに嬉しそうに話しちゃうんだ。



スンチョル、こんなに嬉しそうに楽しそうに笑うんだ。





SC「ほら、かわいいでしょ？」


『うん、羨ましい。』


SC「羨ましい？
あぁ、今度会わせてあげるよ！」





違うよ、スンチョル。

私はもふもふした画面の中のその子に会いたいんじゃないんだよ。



あなたにそこまで大切にされてるその子が羨ましい。












・

24→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す