こいつだけはない【MG】 (ページ28)

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「あの人、寂しそうだよ。」

『ミンギュのこと？』

「名前は知らないけど。」

『…別にいいよ。あの人はただの幼馴染だから。』

「幼馴染？」

『昔からの友達。赤ちゃんから一緒にいる。』

「あー、幼馴染…。」

『時々ね、羨ましくなるんだ。恋人っていう存在が。
彼氏が欲しいとか深く考えたことないはずなのに、やっぱり見ると羨ましい。
私は恋なんてしたことないしわからないけど、楽しいんだろうなって。』

初対面の、しかも中国人にこんなことを言うなんてどうかしてると思う。

案の定、彼を見ると何を言ってるのかわからない、なんて顔してる。

「よくわからないけど、その恋人ってやつは近くにいるんじゃない。」

『まさか自分とか言って指差さないよね。』

いやその顔やめてよ。

スンチョルオッパは言うんだよ、こうやって。

「ほら、なんか来たけど。」

『え？』

MG「何やってんの。トイレ行くって。」

『いや、行こうとはしたんだけど。』

ミンギュは何もないように私にカーディガンをかけた。

『あれ？』

MG「なに？」

『さっきまで話してたのに。』

名前も知らない中国人の彼は、いつの間にか消えていた。

MG「やめてよ、怖い。」

『うん、私も結構怖くなってきた。』

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