５話「すごい」 ページ5
「あ、えっと、大変っていうのは国民が嫌いとかそういう意味じゃなくて！！」
「大丈夫ですよ、アブ王子が国民が嫌いじゃない事くらい分かってます」
「え・・・？」
「家にいても勉強、マナー、習い事、街に出ても住民からの期待の眼差しを向けられてプレッシャーになるしヘマする事も許されない・・・いつ、何処に行っても休みなんてないですね」
王子というのは忙しそうだと思う
私だったら全国民の期待の眼差しなんて耐えられないよ
イライラしてストレスが溜まって・・・下手したら暴れだすかもしれない
だから
「だから、アブ王子はすごいですね」
「すごい・・・俺が？」
王子は目を細めて笑った
「すごいって言われるの初めてかもしれない」
「え？そうなんですか？」
「うん。他の人は俺に向かって『がんばってください』とか『次も期待している』って言うんだ」
ギュッと拳を作って微かに震えている
そして、少し俯いて悔しそうな顔をしていた
「俺、頑張ってるのに・・・次も期待してるって言われるのは俺の中で『次こそがんばれ』って言われてるみたいで嫌なんだ」
「王子・・・」
「誰も今の俺を見ていない、俺の未来、将来を期待の眼差しで見てくる」
そう言って王子は私の方を向いてニコリと笑いかけてきた
「今日、街に来て良かったかもしれない・・・Aさんに出会えたから」
「なんで私にその事話してくれたんですか？」
王子は驚いたように目を見開いて
また、笑顔になった
「Aさんになら話しても良いって気持ちになったんだよ・・・ごめん、迷惑だったよね？」
「いえ、さっき会ったばかりの人なのになんでそんなに心を開いてくれたのかなって思いまして」
「だって、Aさんは今の事誰にも言いふらしたりしないだろうし分かってくれるかなって勝手に期待してたのかもしれない・・・なんか俺、『期待』って言われるのは嫌いなくせに自分で使っちゃってるね」
と言い私から目を逸らし、苦笑いを浮かべた
この人は正直者だな・・・それでいて優しい
私は王子が眩しく見えた
ココに住んでいて、分かった事がある
正直者は死ぬ
人を騙して殴って脅して
そうしないと自分が生きていけないから
「王子はやっぱりすごいです・・・私には眩しすぎる。人を信じるのは難しい事なのに」
「俺もこんなに早く人を信じるなんて思わなかったよ」
二人は目を合わせて笑った
その光景はとても美しく
まるで一枚の絵画でも見ているようであった
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ぷよっち(プロフ) - 夢乃ココロさん» コメントありがとうございます！いい話と言ってもらえてとても嬉しいです。学園のお話も、考えてみようと思います！！ (2015年4月28日 18時) (
レス) id: 5d6f6f880e (このIDを非表示/違反報告)
夢乃ココロ(プロフ) - すごく悲しくて、でもすごいいお話でした！！今度はぜひ学園の方とかも見てみたいです（笑） (2015年4月26日 20時) (レス) id: 764d19a4a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよっち(プロフ) - キヨレトloveさん» コメントありがとうございます！そんなに喜んでくださり、とても嬉しいです＾＾長文ありがとうございます！ (2015年4月13日 19時) (レス) id: 5d6f6f880e (このIDを非表示/違反報告)
キヨレトlove - ふわぁぁぁあああ！！泣きました(( すごい作品ですこれは。本当にすごいです。すごい。うんすごi((殴 感動しましたぁぁぁああ！！この作品を作ってくださってありがとうございました(TT (2015年4月13日 16時) (レス) id: ddf32769be (このIDを非表示/違反報告)
ぷよっち(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！こういうエンディングでも良いのかと悩みましたが、喜んでもらいとても嬉しいです！次回作も早く作りたいと思います！ (2015年4月2日 7時) (レス) id: 5d6f6f880e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷよっち | 作成日時：2014年9月24日 14時
