Twins ～Ｋei .I ～ 3 (ページ36)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:51,595 hit

132 ページ36

なに言ってんだよ母ちゃん
そんな真っ青な顔して

苦渋の表情の母ちゃん
目尻には涙を溜めていて今にも溢れ落ちそうだ

母「Aが居たいって………」

「誰と……？」

俺の声も母ちゃんの声も震えている
掠れた声
喉がカラカラする

母「実のお父さんと一緒に」

絞り出した母ちゃんの一言に、ぐらりと世界が揺れた

どれくらいの時間が経ったのか
1分、10分？
それ以上？
時が止まったようで母ちゃんと俺は黙り込んでいた

漸く紡ぎ出した言葉

「Aが……言ったの？」

虚ろな瞳の母ちゃんが俺を見る
力なく左右に首を振った

「じゃあ言ったのはAじゃないんだね
なら、待ってみる必要なんてないだろ」

母「中島さんが伝えてくれたの。
直接私たちには言えないからって」

泣くなよ
そんなボロボロに涙流して

俺は大きく息を吸い込んで吐き出した

「Aが言う訳ないだろ。
考えてもみてよ母ちゃん。そんな器用なことできる奴じゃないじゃん」

そうだ、そうなんだよ

真っ直ぐで正直なA

俺たち家族とずっと過ごしてきて、そんな言い訳するようなAじゃない

自分で言った言葉に確信が湧き上がった