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母「本気の度合いが分からないから、様子を見てたのよ。若いでしょう。一時の気の迷いかもしれないし」
「俺、本気だよ」
流れる涙を手の甲で拭って、母ちゃんを見返した
母「そうね、本気よね慧は。別に私もお父さんも反対する気はないわ。むしろ嬉しいくらい。ただね……」
「ただ、なに? 」
母ちゃんが横目で父ちゃんを伺った
言いあぐねている母ちゃんを見て、父ちゃんが口を開く
父「お母さんが心配してるのはな、双子として育ててきたから、一緒にいることが当たり前すぎて、気持ちを履き違えてないかって事だよ」
「………んなこと、そんなこと、あるわけないだろ! 」
思った以上に大きな声が出た
握りしめていた手に力が入る
爪が肌に食い込んだ
Aは俺が好きだよ
気持ちを履き違えてなんてない!
頭の片隅に引っかかっていた考え
浮かんではまた沈んでいく
考えないようにしていたのに
”俺じゃなく裕翔といたら、Aは裕翔を好きになっていたんじゃないか”
「あるわけ……ないだろぉ」
弱々しい呟きが言葉となって漏れ出した
自信がない自分が顔を出す
違う、こんなんじゃダメだ
これじゃこの先、Aを守れない
俺に向ける笑顔だって
俺の腕の中で顔を赤らめる仕草だって
俺を好きだって言った気持ちだって
俺で感じるあのカオだって
全部本物______本物なんだ
「Aは……Aはちゃんと俺が好きだよ。履き違えてなんかない」
迷いのない俺の顔つきに、母ちゃんが苦笑いを浮かべてみせた
母「………いいわ。慧が言い切るなら見守る。けど…Aを泣かせないでちょうだい」
父「大事な1人娘だからなぁ」
「俺も1人息子なんだけど…」
恨めしそうな視線に、父ちゃんが、そうだった、そうだった。
なんて思い出したように呟いた
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作者名:みくり | 作成日時:2017年2月26日 14時