第三十六話 ページ39
「遅かったね」
「この家服多すぎんのよ……間に合う？」
「大丈夫。余裕はそんなないけど、間に合うよ」
良かった。私の着ていく服選んでたら時間に間に合いませんでしたなんてことあったら大変だ。まぁイルミなら着替え中でも「時間だよ行くよー」と担がれそうだが。
「それに、母さんがこんだけ時間かけるのも想定内だから。まぁ想像よりちょっと長かったけど」
「衣装合わせの時間も計算できる……思ったより紳士なんだ？」
「ホントに、おまえ、殺そうかな」
「はは、行こうか」
このキレイなドレスを早速赤潮にしてしまうところだった。ちゃんと自分の体は大事にしような。気に入った人間にはちょっかいかけたくなっちゃうのだ。心は思春期男子だから。
「……というか、イルミさんもちゃんとした服……まぁ着るよねそうだよね……」
「もう本当に、俺が貴族だったらお前一言喋るたびに不敬罪で首はねてるよ」
「貴族じゃなくても自分で首はねれ……行こうか」
「今回はちゃんと車だからね。ゴトー」
私の不敬には触れずにその名を呼ぶと、一人の男性が私達の前に現れた。正確にはずっと後ろの方についていたのだが。風格は確かにある。きっと偉い人なんだろうなということも分かる。この人が車を運転してくれるのだろう。
「ゴトー、会場の入り口まで運転して、俺たちが出るまでは待機だ。いつ戻るかは分からない。車で戻れるかも分からない。」
「はい、かしこまりました。」
初耳だな。戻れるか分からないってなんだ。ただの視察なのに？ただ宝石とジュエルという男を見に行くだけだと聞いていたが、彼にとっては違うのかな。
そこでピンときた。これはただの勘とかじゃなく、神様のちょっとした察しの良さだ。理由なんてない、神の気まぐれだ。
「宝石会に盗みが入るから？」
「…………知ってたの？」
「いや、まぁ、なんとなく？ほら、有名な盗賊団とかいるし……」
「幻影旅団でしょ？」
「ああ、それそれ。名前だけは聞いたことあったのよね」
宝石会に出る品物は皆大層な価値あるものだ。普通の盗賊ならば欲しがるのが普通だろう。幻影旅団、というのがどういうのかは知らないけれど、目につけないはずはないと思う。キラキラしたものが好きって人はたくさんいるし、その人たちの中にもそういうの狙いたい人はいるんじゃないかな。
「え、私生きて帰ってこれるよね？」
「俺のそばを離れなければね」
「お……おお！？」
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カンナ(プロフ) - うわぁぁめちゃくちゃいいです最高です！！！続き楽しみにしています！！！ (2月3日 6時) (
レス) @page44 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
sumire - 詩的な言い回しと駆け引きに、臨場感あふれる表現達が本当の本当に面白くて、一気に読んでしまいました。好みどストライクの作品に出会えて嬉しいです、更新待ってます。 (6月13日 20時) (レス) @page43 id: 5a6444f9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷーちゃ | 作成日時：2021年9月9日 21時
