第三十三話 ページ36
「これ似合うんじゃないかしら！あらこの赤色も似合うわ！！このコルセット型はちょっとスタイルと合わないわね。別のにして……」
イルミにこの衣装部屋へ連れてこられて50分が経過した。中で待っていたのは、ちょっと近寄りがたい見た目のオホホ系女性──イルミの母親であるキキョウさん──とピシッとした執事の人だった。もちろん女性だ。神に性別があるのかないのかわからないが、自認識で女なのでこの配慮で間違っていない。
「……えーっと、そうですね。私もコルセットは辛いです。そして……実は寒色系の服が好きなのです。」
嘘ではない。真実だ。真実だけど、少しの思惑込み、だ。さっきからド派手というか、舞踏会に出る令嬢がその場で一番目立つように着るようなドレスばかりで少々苦しんでいた。似合う似合わないではなく、単に好みだ。でも仕方がないよな、とそれについては割り切り、ならばまだマシに見えそうな寒色系を頼んでしまった。赤いフリッフリのドレスも魅力的だが、そのドレスを着ている自分を想像したくない。
「あらそうだったの！それなら丁度良いものがあるわ……」
今まで部屋の壁一面にぶら下げられていた一面の衣装の山をゴソゴソしていたキキョウさんが、パチン、と一つ指を鳴らした。その音でそばにいた執事が頭を下げ、爆速で部屋を出て行ってしまった。
「……貴族っていつもこのような感じなんですか？」
「ふふ、貴族なんてもんではありませんのよ。ただの殺し屋一家です。」
「ただの……ですか……」
貴族のような国家的権力じゃなくても、殺し屋家の下僕ならまぁ、少しの粗相で全然殺されそうだしな。ただの殺し屋だかなんだかはちょっとよくわからないがこんなもんなんだろう。
そうだよな、私は今殺し屋の家にいるんだよな。
神は……不死身といえば不死身なのかもしれないし、既に死んでいるといえば死んでいるのかもしれない。神のみぞ知るものと言って笑いを取れるかな、これ。
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カンナ(プロフ) - うわぁぁめちゃくちゃいいです最高です！！！続き楽しみにしています！！！ (2月3日 6時) (
レス) @page44 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
sumire - 詩的な言い回しと駆け引きに、臨場感あふれる表現達が本当の本当に面白くて、一気に読んでしまいました。好みどストライクの作品に出会えて嬉しいです、更新待ってます。 (6月13日 20時) (レス) @page43 id: 5a6444f9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷーちゃ | 作成日時：2021年9月9日 21時
