番外編 下 ページ32
「…………Aさん？」
何も発しなくなった彼女は、一定のリズムで肩を上下させている。寝たのか。
読みかけの本を一旦栞でストップさせて、コーヒーを啜った。暖かくも冷たくもない、中途半端な温度になってしまっている。結構長くここにいたから仕方がないけど。
今日最初に見た彼女と今来た彼女の表情の変わりようは明らかだった。普段も仕事終わりらしく疲労を纏わせてはいるが、今日は比べ物にならないくらいだ。俺も今日あった図書館での騒動は耳に入っている。実際にその現場を見たわけではないが、他の客が話していた内容でなんとなく察することができた。面倒な客に当たってしまったのだろう。運がない人だ。盗賊団の頭としてならすぐにでも相手を葬り去ってやるのに。今はただの青年クロロ＝ルシルフルだから、息を潜めるしかできない。
「……こんな状態の獲物なんて、捕まえる絶好のチャンスなはずなんだけどなぁ」
きっと、幻影旅団のクロロ＝ルシルフルであったとしても、今の彼女をこのまま奪い去ってしまうようなことは出来なかっただろう。何故なのかは分からないけれど、そんなことをできる自信は全くなかった。彼女が神様で、眠っている状態でも敵うことはないと思っているからだろうか。それならばまだ救いようはある。でも、きっと俺はそうじゃなくて…………
どうせ何も出来ないんだ。この本を読み終わったら、彼女を起こしてやろう。残りは50ページと少し。それならもうちょっと文を吟味して、一節一節大事に読んでやろうかな。
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カンナ(プロフ) - うわぁぁめちゃくちゃいいです最高です！！！続き楽しみにしています！！！ (2月3日 6時) (
レス) @page44 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
sumire - 詩的な言い回しと駆け引きに、臨場感あふれる表現達が本当の本当に面白くて、一気に読んでしまいました。好みどストライクの作品に出会えて嬉しいです、更新待ってます。 (6月13日 20時) (レス) @page43 id: 5a6444f9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷーちゃ | 作成日時：2021年9月9日 21時
