第二十話 ページ20
スッ……と空気の流れが止まった。気がした。元々騒がしくはなかった店内の雑音が驚くほど空間に響いて無に帰す。
今、目の前にいるこの人は、自分の存在を否定しなかったか？
「……でも現に、あなたがそうじゃないですか」
「私は"神のような"力を持っているだけ。本当にこれが神の力なのか、誰も証明はできない。レート
ー……私に力を授けたあいつだって、本当は何者なのかは誰にもわからない」
彼女はそう言うと目を伏せて、右手で机の上を払うようになぞった。俺にはその行動の意味が分からなかったが、彼女の表情はどこか優しく、どこか冷たいことだけが認識できた。
ゆっくりと顔をこちらに向けた彼女は、俺を試すように笑っている。
「神は人の前に姿を表したりしない。じゃあ私は、何なんだと思う？私の能力は、私にも分からないんだ。ならばどうやって、青年が私についての知見を深める？私に私を問うても、得られるものは何もないのに」
目の前の彼女は、俺を遠くに投げ飛ばすように浅く笑う。自称気味に、しかし堂々とした態度でこちらから視線を逸らさない。俺も、彼女から目が離せない。圧倒的だった。今まで戦ってきた念能力者は人それぞれのオーラを纏わせていたが、彼女は念など関係なしに、表情や仕草だけで俺の身動きをとれなくしてしまう。
彼女は視線を右上に……彼女からすると左上に持ち上げて、何かを思い出したように口を開いた。
「……占いの話か。そうだな……例え私が"占い"をしても、それが正しいのかは私にも分からない。ならばそれは本当に"占い"と言えるか？少なくとも私は、それを"占い"だと言うことは無い。と、言えば良いかな？」
完敗だった。計画通りに事が進まなかったことに関しても、目の前で至極愉快そうに喋り続ける彼女をどうしようもなく欲している自分がいたことに関しても。バカにされたと思えるくらいに俺の言うことを否定して、答えられないのを分かっていて問いかけてくる彼女は相当な怖いもの知らずで博打な人なのか、それとも彼女にとって恐怖する存在なんてこの世にないのか、生きている世界が違いすぎる俺には到底理解できなかった。のらりくらりと俺の欲するような答えを躱すのに、それでも満足してしまっている自分がいた。
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カンナ(プロフ) - うわぁぁめちゃくちゃいいです最高です！！！続き楽しみにしています！！！ (2月3日 6時) (
レス) @page44 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
sumire - 詩的な言い回しと駆け引きに、臨場感あふれる表現達が本当の本当に面白くて、一気に読んでしまいました。好みどストライクの作品に出会えて嬉しいです、更新待ってます。 (6月13日 20時) (レス) @page43 id: 5a6444f9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷーちゃ | 作成日時：2021年9月9日 21時
