八話 ページ9
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A Side
「うーん、どれにしよう……」
お店に来たはいいけど、なかなか決まらない。色や柄がたくさんありすぎて迷う〜!
「これがいいんじゃない? 絶対似合うよ!」
「こっちの色もかわいいなあ」
「服なんていらねえ!」
「ああー! 迷うー!」
頭を抱えてその場をうろうろする。どうしよう、こんなことに時間かけてもしょうがないのに! でもこれからの任務でずっと着る物だからなあ……。うーん、うーん……。
そのとき、一番奥にあった一枚に目が止まった。吸い寄せられるように近づき、手に取る。これだ。直感的にそう思った。
「どうですか……?」
私が選んだのは、ベージュの生地に月とうさぎが描かれた着物と留紺色の袴だった。
「わあああ! うんうんすごいかわいい! すっごいかわいいよ!」
「似合ってるね!」
「服なんていらねえ!!」
無一郎 Side
今日はなんだか調子が狂う。胸が締めつけられるように苦しくて、深呼吸をしないと気が落ち着かない。なんでだろう?
そのとき、炭治郎たちとすれ違った。
「……!」
心臓がドキッと跳ね上がった。深い紺色の袴をはいて歩いている彼女に目を奪われて、僕はしばらくその場を動けなかった。
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作者名:Rabbita | 作成日時:2020年5月9日 14時