検索窓
今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:37,526 hit

三十話 ページ31

.


無一郎 Side

 「A! やったね! 倒したよ!」
僕は嬉しさのあまりAの背に飛びついた。すると、Aはがくりと倒れた。
「A!? どうしたの?」
慌てて抱えると、Aは泣いている。
「無一郎くん、私ね、血鬼術、吸っちゃった、みたい……」
「……そんな! 僕をかばって!」
「でもね、いいの、私、もう、消える……」
Aは力なく僕の手を握る。ああ、僕は大切な人を守れなかったのか。それどころか、守られてしまった。
「いやだ、いやだよA! 消えないで!」
Aの体はキラキラと粉のように散り始める。
「A! A! 置いていかないで! 僕を一人にしないで!」
そんな僕の気持ちは届くはずもなく、Aの体は胸まで散った。大粒の涙がぼたぼたとこぼれて、Aの顔が見えない。
「A! やだよ!」
「無一郎くん……」
Aはそっと僕の首に腕を回した。そして、触れたのかさえわからない、短く、儚い、キスをした。
「A。僕、Aに好きって言えなかったよ……?」
 散ってしまった君は、ふわふわと舞い上がっていく。つられて見上げたその空は、深い、深い、留紺色だった。

.

あとがき&続編について→←二十九話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 霞柱   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Rabbita | 作成日時:2020年5月9日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。