二十二話 ページ23
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A Side
窓から覗くと、中に五人ほど日輪刀を持った男たちがいた。そのうち四人は大量の血を流して倒れている。残りの一人はというと、全身がひどく震えて立っているのもままならないようだ。
視線を左に移すと、赤ん坊を背中に背負って小さな子供を抱いた女性が声を殺して泣いていた。外にいた子供の母親だろうか。
「急いで行こう」
「うん」
私たちは窓を破って家の中に入った。鬼の姿を捉えた瞬間、無一郎くんが刀を抜く。
〈霞の呼吸・肆ノ型 移流斬り〉
太った鬼はいきなりの攻撃に驚きつつも、優れた身体能力でさっと避けた。そのうちに私は震えている隊士から話を聞く。
「大丈夫ですか。状況は」
「伝令を聞いて五人でここへ来ました。そこの奥さんと子供たちが襲われそうになっていたので戦っていたのですが、四人は……」
「そうですか……。でも安心してください、私たちが来たからもう大丈夫ですよ!」
「あなた方は?」
「柱です! 無一郎くん、準備は?」
「勿論できてる」
「柱……!」
隊士は安心したからかその場に倒れた。さあ、ここからだ。
「柱が二人……。面倒なことになったなあ」
「うるさい」
〈霞の呼吸・陸ノ型 月の霞消〉
無一郎くんは素早く跳び、上から鬼の頸を狙う。
《血鬼術
が、とげとげのツルのようなものが一瞬で無一郎くんに向かって伸びる。無一郎くんは即座にツルを避け、着地した。
「さすが柱だなあ」
鬼は無一郎くんをほめながらこちらに向きを変えた。
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作者名:Rabbita | 作成日時:2020年5月9日 14時