海の虹 ∞ (ページ22)

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それから俺は何も言わず同じように海を見つめた。
みち子も何も言わなかった。

最初、どうしたらええ？ってこのまま逃げようかっていろいろ考えて海見てたのに
今は何も考えんと只々、海を見てた。

どれぐらいそうしてたんやろうな。

いつの間にか聞こえてたペンが紙の上を走る音。
それが止まり「出来た」って声に長い間、海を見ていたんやと気付いたんだ。

「これスーさんに」

スケッチブックから切り取られた紙。
そこには、服がデザインしてあった。

「再び描き始めた記念の1枚だよ」

俺に渡したデザインと全く同じデザイン画がもう1枚。

「2枚やん」

「・・これは2つで1つなの！」

「絶対それ今考えたやろ」

「スーさんってマジでイジワル」

「褒め言葉やな」

「褒めてない！
せっかくスーさんの服デザインしたのに！」

「俺に？」

「うん、スーさんのための服。
私、頑張るからいつか買いに来て」

「有名にならんと見つけれへんで」

「んふふっ、じゃスーさんも有名になってね。
大切な時に着て」

ガキみてぇな口約束。
嬉しかった。

次に会う日なんてない。
何年か経ったら忘れてしまうだろう。
そんな俺達が交わした小さな約束。

守る日が来るかわからへんからこそ
みち子は『いつか』と言ったし、互いに『有名になって』と言った。

けどな、叶う気するんや。
みち子が言うた通りこれが運命なら、叶う。
そう思うねん。

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