向かう先は地獄 (ページ7)

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京介side

今日の放課後、Aが大夢に告白する。
そんな話があったっけ。

それにしても何の連絡もないな。
あんなに協力してあげたのに何の連絡もないな。
せめてOKだったか、ダメだったか、それだけでも教えてくれよと思う。

そう思っていると、LINEの新規メッセージの通知が来た。
ようやくAから報告が来たかと思ったが、メッセージの送り主が大夢だと分かり、少し落胆した。

たかつか京介、急にごめんね。
今、通話できる?

こうなったら大夢に聞いてやろうと思い、通話をすることにした。

「もしもし京介
急にごめんね、時間もらっちゃって。」
大夢が申し訳なさそうに言うので、安心させようと「大丈夫だよ」と答えた。

「ちょっと1人で抱えきれないことがあってさ。
耳貸してもらってもいいかな。」
別に断る理由もなかったので「うん」と大夢の話を聞く意思を示した。
そのついでにAの告白について聞き出そうという気持ちでもいた。

「今日の放課後、Aに告られた。」

大夢の話というのはそれかよ！と思った。
俺があとで聞き出そうと思っていたことを話してくれるとは思っていなかったので、ラッキーと心の中で言った。

「で、大夢は何て返事したの？」
1番気になっていることを考え無しに口にしてしまった。
もしかしてミスった？とヒヤヒヤした。

「俺、Aと付き合うことにしたよ。
実はさ、俺もずっと前からAのことが好きで
でも、俺とAじゃ釣り合わないよなって諦めてたんだよ。
そんな時に告白されて、本当に嬉しかった。」
大夢の声色は段々と明るくなり、嬉しい気持ちが伝わってくる。
まさか両思いだったなんて思わなかったけど。

「そっか、良かったな。
大夢、おめでとう。」
俺がこう言うと照れ笑いをしながら「ありがとう」と返す大夢。

しばらくしてから通話を終わらせた。

俺1人しかいない部屋の中でぼんやりと考える。

2人の恋が実ったことは喜ばしいことだと思っている。
しかし、素直に喜べない。

「京介の片思い、終わるといいな。」
匠海が発した言葉の意味がようやく分かった気がする。

Aに彼氏ができて、一切の望みがなくなっても
俺の気持ちが消えることはなかった。