向かう先は地獄 (ページ40)

今日:20 hit、昨日:74 hit、合計:32,158 hit

40 ページ40

京介side

朝、教室に入るとある光景が目に入り込んできた。

大夢が自席に座り、Aはその横に椅子を持ってきて座っていた。
Aが大夢に勉強を教わっていて、時々楽しそうに笑っていた。

「あの2人、いつの間に仲直りしたんだね。」

「友達から聞いたんだけど、なんか復縁したらしい。」

「一時期、険悪ムードだったよね。
仲直りして良かった良かった。」

クラスの女子たちの会話を聞いてショックを受けた。
まさか、この2人が復縁しているとは思わなかったから。

そりゃ、俺がAと付き合えるだなんて思わなかったけど、こういう現実に直面すると精神的にキツい。
俺のしたことは、この2人にとっては何でもないことだと言われている気分になっていた。

「ちょっと！藤牧いるって！」

「あ、やば！
今の聞かれてたかな？」

「マジやばいって！
だって、髙塚と花村の仲を壊したのは藤牧らしいじゃん！
まぁ、ただの噂だけど。」

「私は本当だと思ってるよ。
花村、藤牧のこと露骨に嫌ってたじゃん。」

今度は俺を見ながらヒソヒソと話し出す女子たち。
俺に石を投げるようなそんな空気になっている教室に居づらくなり、自席に荷物を置いてから教室を出た。

と言っても行くあてがないので、ただ廊下をウロウロしていた。
そして、学校に来たことを後悔した。
あと1日休めば良かった。

「あ、藤牧くん。
見るからに不幸そうな顔してどうした？」

声をかけてきたのは後藤だった。
確かAの幼馴染だったっけな。

「どうせあれやろ？
Aと髙塚が復縁してショック受けました～って感じやろ？
俺が話聞いてやるよ。」

後藤はそう言って俺の肩に手を置いてきた。
髙塚に脅しをかけていた時からは想像できないくらいの穏やかな笑顔を向けてきた。

「もう放っておけよ。
俺の気持ちなんて分かんねぇよ。」

俺は後藤をその場に置いて立ち去ろうとした。

「俺も分かるよ、藤牧の気持ち。」

後藤のこの言葉で歩みを止めた。
とりあえず、自分の気持ちを後藤に吐き出すことにした。