向かう先は地獄 (ページ33)

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ココ最近、尾崎くんの様子がおかしい。
尾崎くんの事情とか、気持ちとかは分かってる。

だとしても私と京介をくっ付けようと必死になりすぎていると思う。
そして、私の気持ちを無視して突っ走っている感じがする。
私が分かりやすく拒絶しているのに、そんなことは関係ないと言わんばかりに、どうにか突破口を探しているように見えた。

そんな尾崎くんが嫌になり、「迷惑だからやめてくれ」と話すため、放課後の教室に呼び出した。

「どうした？」

キョトンとした顔で教室に入ってきた尾崎くん。
何も心当たりがないような態度に苛立ちを覚えた。

「よくそんな態度でいれるね。
私、怒ってるから。
尾崎くんが頑張ったところで、私は京介と付き合わないから。
早いうちにやめてね。」
私は淡々と話して、教室から出ていこうとした。

尾崎くんの意見なんて関係ない。
向こうだって私の気持ちを無視してる。
だから、私も尾崎くんの思い通りにはならない。
そんな気持ちでいた。

「待って！」
尾崎くんは私の手首を掴んだ。

尾崎くんは熱のこもった瞳で私をまっすぐ見つめる。
彼の感情的になっている姿を見るのは初めてで、戸惑いを隠せなかった。

「ホンマに京介と付き合う気はないの？」
尾崎くんは私の気持ちを確認するように聞いてきた。

しかし、先程までとは違う。
京介のために聞いている感じではなかった。
「京介とは付き合うつもりはない」という答えを求めているように見えた。

「だから、何度も言ってるでしょ。
京介とは付き合わないって。」

尾崎くんが求めている答えとかそんなことは関係なく、私の気持ちをそのまま口にした。

すると、尾崎くんは何故か安心したような顔をしていた。
また初めて見る表情だ。
親友のために暴走していた尾崎くんからは想像できない姿だと思った。

私が困惑していると、尾崎くんが距離を詰めてくる。
そして、後頭部に手を添えられ、触れるだけのキスをされた。
一瞬だけフリーズしてしまったが、すぐに冷静さを取り戻し、尾崎くんを無理やり引き剥がした。

「俺、花村が好き。」

流れからして、こう言われるのは予想できた。
しかし、尾崎くんに好かれているだなんて1ミリも思っていなかったので驚いている。

「でも、付き合うとかそんなんやなくて。
花村に会えなくなるから、思い出が欲しかった。
それだけやから。」
そう言って教室を出て行く尾崎くん。

この出来事をすぐに飲み込むことができない私はその場で動けずにいた。