向かう先は地獄 (ページ31)

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大夢side

今日こそはちゃんとAと話す。
もう二度と、後悔しないように。

そう思ってAの様子を伺っていた。

ふとしたタイミングで尾崎くんと目が合った。
尾崎くんは俺を睨みつけた状態で近づいてくる。

「何？花村に用でもあんの？
お前らはもうとっくに終わってるやろ。」
尾崎くんの冷淡な口調と感情が込められていない表情に怯んでしまう。

「あ、いや。
特に用事はないんだけど。」
俺はこの言葉を絞り出すだけでも必死だった。
本当はAと話したかったけど、今の尾崎くんの前でそんなことは言えなかった。

「ふーん。
でも、そういうの迷惑やからやめてな。
お前と花村は別れた、次は京介と付き合うんやから。」
尾崎くんの淡々とした話し方は変わらず、京介とAの仲を邪魔しないようにと牽制してきた。
そして、言いたいことを言い終えたのか、俺から離れていった。

そして、京介をAの所へと連れていく。
Aは京介の顔を見るなり不機嫌そうな顔をし、京介は精神的にダメージを負っている感じだった。

地獄みたいな空気の中で、尾崎くんだけが楽しそうに笑っていた。
今の状況が分からないのか、それともあえて気付かないふりをしているのか、サイコパスなのか。
心の中でツッコミを入れていた。

しばらく様子を見ていると、尾崎くんはAと京介をくっ付けたくて必死なんだろうと思えてきた。
だから俺に冷たくしていたのかと納得できた。

「今日の放課後とか一緒に遊びに行ったらええやん。
そしたら花村の気持ちも変わるやろうし。」

尾崎くんはどんな気持ちでそんな発言をしたのだろうか。
全く分からない。
俺と同じ気持ちかは分からないが、Aと京介も驚いたように尾崎くんを見ていた。

「私は行かないから。
京介と2人で出かけるなんて絶対嫌。」
Aは怒って教室を出て行ってしまった。

そんなAを目で追いかける京介と尾崎くん。
京介は申し訳なさそうな顔をしていて、尾崎くんはキョトンとしていた。

そのギャップがまた恐ろしかった。