向かう先は地獄 (ページ25)

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大夢side

京介がAを抱きしめているところを見てしまった。

京介の表情からは本気で好きなんだろうなという気持ちが伝わるし、Aも無抵抗といった感じだった。

あまりこんなことは考えたくないが、Aは京介と浮気しているのか。

だとしたら何でこんなことを。

2人は最初から仲が良かったのだから、俺と付き合うより先に付き合ってしまえば良かったのに。
わざわざ俺に期待させるようなことをして、あとで裏切るようなことをしなくてもいいのに。

Aに「好き」って言ってもらえて、実際に付き合って、それで幸せを感じていた俺がバカみたいだ。

俺は感情に任せ、Aと京介のところへと行った。

京介はすぐにAから離れ、元々大きな目を見開いて驚いている様子だった。
Aも同様に驚きの表情を見せていた。

「何で？何でこんなことしたの？
京介のこと、友達だと思ってたのに。
俺とAが付き合うきっかけをくれたし、俺が悩んでた時も話聞いてくれたじゃん。
なのに、何で？」

京介に向けて喋っていると、涙がポロポロとこぼれる。
裏切られたことによる怒りと悲しみがぐちゃぐちゃに混ざった感情でいっぱいだった。

それでも、京介は友達だから「ごめん」と謝ってくれるのではないかと期待する気持ちも少しはあった。

「は？友達？
そんなこと思ったこと1度もねぇよ。
俺はお前を理由にAに近づこうとした、それだけだよ。
本当は、Aに好かれてるお前が憎くて憎くて仕方なかったよ！」

京介はこう言い捨て、昇降口の方へと移動した。

全部裏切られた。
勝手に期待した俺が悪いけど、大きなショックを受けた。

京介に初めて話しかけられた時、友達になろうって言われた時は本当に嬉しかったのに。
同い年の友達が初めてできたと思ってたのに。
京介は俺を友達だと思っていなかった。

絶望の気持ちでいっぱいだった俺は、その場にAを置いて先に帰って行った。