向かう先は地獄 (ページ24)

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昇降口で大夢を待っていると、京介に声を掛けられた。

最悪、終わったと思ったが、頭を抱えている場合ではない。
京介から逃げるように場所を移動した。

しかし、男子である京介にはすぐに追いつかれ、1階と2階の間にある階段の踊り場部分で腕を掴まれた。

「何で俺のこと避けるんだよ。」

京介の言葉を聞いて、開いた口が塞がらなかった。
私が京介を避けている理由が何故分からないのか、そう言ってやりたかったが、呆れて言葉が出なくなってしまった。

「何？この前のことが理由で俺を避けてるの？」
京介は眉間に皺を寄せ、少し苛立ったような声色で言った。

京介の言葉がきっかけで私の中で怒りの感情が再発した。

「当たり前でしょ！
私、彼氏いるんだよ？
大夢のことが本当に好きで、愛したくて付き合ってるの。
それなのに大夢のこと裏切っちゃったから、それで今まで通り京介と話せるわけないでしょ！」

私が声を荒らげると、京介は燃え上がるような目で私を強く睨みつけた。
強い怒りの感情が伝わってくる。

「俺が、Aと大夢が付き合えるように協力したのは自分のためだよ。
Aへの片思いを終わらせるため。
でも、実際に2人が付き合って仲良くなっていくのを近くで見てたら辛くなった。
俺の片思いは終わらなかった。
こんなことなら、協力なんてしなきゃ良かったって後悔してる。
俺は、今でも本気でAが好きで、付き合いたいと思ってる。」

京介の言いたいことはよく分かった。
しかし、情報量が多すぎて受け止めきれなかった。

「そんなこと言われても困るよ。
私はやっぱり大夢くんのことが好きだし」

頭の中がこんがらがっている状態で言葉を振り絞っていると、突然京介に抱きしめられる。

「ごめん、これ以上聞きたくない。」
こう言った時の京介の声は震えていて、今にも泣き出しそうだった。
そして、私を包む腕の力が強くなる。

本当だったら京介を突き放すべきなのに。
頭が真っ白になって、体が動かなかった。