向かう先は地獄 (ページ17)

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「放課後、Aとゆっくり話したいんだけど」

大夢に学校近くの公園に呼び出された。

「お待たせ」
ベンチに座っている大夢に声をかけると、明るい笑顔をこちらに向けた。

「急に呼び出してごめんね。
ちょっとAに言いたいことがあって。」

私は大夢の続きの言葉を待った。

「えっと、Aの幼馴染をチクるみたいになって申し訳ないんだけど
昨日、後藤くんに怒られたというか、詰められたというか
それでちょっと怖い思いをしてて」

大夢の話を聞いて、私は深いため息をついた。

威尊、あいつバカじゃないの？
人の話、聞いてなかったのかよ。

私の中で、威尊に対する怒りが生まれた。

「その時に京介が助けてくれたんだよ。
そのあと、2人で話してて、京介に言われたんだよね。
『お前はAの彼氏だから、Aに好かれてるんだから堂々としてろ』って。
それ言われた時、確かにって思ったんだよね。
俺が堂々としてなきゃ、俺を好きになってくれたAに失礼だなって。
だから、俺は胸を張ってAの彼氏でいる、約束する。
これからもAには俺の彼女でいて欲しい。
それを言いたかった。」

大夢の言葉を聞いた私は嬉しくなり、何度も頷いた。
こんなことを考えてくれていると知れたから。

「そっか、大夢の気持ちを教えてくれてありがとう。
私も、大夢の彼女として相応しい人でいたいと思ってるよ。
死ぬほど好きだけど、叶うと思ってなかった恋だから。
大夢と付き合えて、今でも夢みたいだなって思ってるもん。
だから、大事にしたいんだ。
私も、大夢にはいつまでも私の彼氏でいて欲しいって思ってるよ。」

私も思っていることを言葉にした。
大夢の嬉しそうな顔を見て、気持ちを口にして良かったと思った。

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」
大夢のこの言葉を合図にベンチから立ち上がり、手を繋いで帰った。