向かう先は地獄 (ページ14)

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威尊side

A威尊、ちょっと話がある
電話かけるから

Aから久々にLINEが来た。
どうやら電話できるらしい。

子どもの頃から片思いしていた人から電話がかかってくるとかなり浮かれていた。

「もしもし、A！」
嬉しさを隠しきれない声で電話に出ると、Aは深いため息をついた。

「威尊、状況分かってないの？
私怒ってるんだけど。」
Aの言う通り、不機嫌そうな声をしていた。

「知らないとは言わせないよ？
私は全部分かってるんだから。
あんた、自分の友達使って大夢の邪魔をしたんでしょ。
大夢に雑用を押し付けて、私と話す時間を減らそうとしたんでしょ。」

決してバレないとは思ってないけど、こんなに早くバレるとは思わなかった。
昔から似たようなことはしてきたし、行動パターンを読まれたか？
何がいけなかったのかを考えていた。

「黙ってるってことはそうなんでしょ？
何とか言いなさいよ！」
Aが声を荒げ、その迫力に負けて「はい、俺がやりました」と白状してしまった。

「あんた、昔から変わんないよね。
マジで迷惑だからやめて。
威尊のそういうところが嫌い」

Aの言葉で思考回路が止まった。

"嫌い"の3文字は俺の心をナイフのように突き刺した。

ダムが決壊したように涙が止まらない。
呼吸が段々荒くなる。
怒りと悲しみと嫉妬で心がぐちゃぐちゃになった。

「次、大夢に変なことしたら本当に許さないからね。
大夢は私の好きな人で、大切な人なの！
それを威尊に傷つけられていいわけないでしょ！
分かった？絶対だからね！」

この言葉を最後に電話が切れた。

Aにとっての大夢は、何よりも大好きで、大切で、尊い人。
他人に踏みつけにされたくない人。

Aにとっての俺は嫌なことをする人。

その違いはよく理解していた。

しかし、理解すればするほど怒りは大きくなっていった。

髙塚、絶対に許さない。
その気持ちが心を埋めつくしていった。