終 �� ページ49
薄っすらと目を覚ましたら、何故か俺はうつ伏せの状態で風に吹かれていた。
バスに乗っていたはずの俺が、何故か外にいる。
草混じりの砂利の上で、うつ伏せになっている。
顔の前にある自分の手が真っ赤に染まっている。
それは、手から出ているというよりも、自分の頭からドクドクと滲み出ているもので染まっている。
体中が痛い。
なんだか煙の匂いがする。
ガソリンの匂いもする。
ぼやける視界に映っているのは、真っ逆さまになったバス。
ガラスの破片が飛び散っていて。
俺はきっと、窓から外へ投げ出されたのだろう。
ボロボロになったバスの半分が、炎に包まれている。
だけど体中が痛くて、逃げることも出来ない。
ふっと視線を動かすと、バスのすぐそばに落ちているキャンバスが目に入った。
俺は倒れたまま、力を振り絞ってキャンバスの方へ手を伸ばした。
だけど、届くことのないキャンバスは、やがて炎に包まれていった。
起き上がって取りに行けない俺は。
燃えて真っ黒になっていくキャンバスに向かって、手を伸ばすことしか出来なかった。
智っ・・・
全身の痛みで視界が霞んでいく。
意識が朦朧とする俺は、手を伸ばす力を緩め、砂利に顔を沈めた。
横を向いてうつ伏せになる俺の目の前に、薄っすらと何かが映った。
それは、人の足のようだった。
誰かが俺の前に立っている。
俺は、足からゆっくりと視線を上に向けていった。
そこに立っていたのは・・・
茶髪で、俺の好きなぷくぷくほっぺの智だった。
和「…さとし……こんなとこに…いたのかよ……」
智が黙ったまま俺を見ている。
和「…さては…さみしくて…もどってきたんだろ…」
智が悲しい顔で俺を見る。
和「…だいじょうぶ…もう…さみしいおもいは…させないから……な…」
目の端から、生温かい涙がタラリと流れた。
智「……一緒にいこう……カズ……」
智が俺に向かって手を差し出した。
俺は震える手を伸ばし。
俺達はしっかりと握り合った。
そして。
微笑み合った。
これでもう…お互い寂しくないよな。
だって俺達は。
これからもずっと一緒なんだから。
永遠に。
−完−
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年8月8日 16時
