濃藍のうた〔N O〕 (ページ48)

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終 ② ページ48

翌日。

自分の少ない荷物が入ったショルダーバッグと、同じく少ない荷物が入った智のウエストポーチと、大切なキャンバスを持って、送迎バスに乗り込んだ。

2人掛けの座席の窓際に座って、隣の空席にカバンとキャンバスを置いた。

バスに揺られながら、窓に肘をついて、ボーっと外の景色を眺めていた。

帰ったら、やらなきゃいけないことがたくさんある。

智のことはもちろん。

櫻井さんや相葉君や潤にも連絡しなきゃな…。

落ち着いたら就活もしなきゃ。

きっと、忙しい毎日が待っているだろう。

悲しみに暮れている暇なんて無いくらいに。

これから俺は、どうやって生きていけばいいのだろう。

智のいなくなった人生を、どう歩んでいけばいいのだろう。

智が病気になったのも、智の命がこの短さで尽きたのも運命だというのなら。

俺には、どんな運命が待っているのだろう。

きっとこの先、智以上に愛せる人なんていない。

智を忘れることなんて絶対に出来ない。

そんな俺に、幸せな未来なんてあるのだろうか。

隣の空席に置いてあるキャンバスを見つめた。

なあ、智…

お前は今どこにいるんだよ…？

なんで隣にいないんだよ…

俺を置いてどこに行ったんだよ…

お前は、あの遠い空の向こうにいるのか…？

あそこで、俺が来るのを待っているのか…？

キャンバスを手に取り、ギュッと抱え。

山道を走るバスの窓から、綿あめのような雲が広がる空をジッと眺めていた。

と、その時。

突然ガンッと大きな音と共に、バスが激しく揺れ、体に重い衝撃が走ると共に視界が真っ暗になった。