温泉に浸かって ページ48
まだ5時前の早朝。
俺と相葉くんは、諸々の事情でお風呂に入りたいということで、コソコソと大浴場へと向かった。
早朝ということもあってか、幸いなことに人は誰もいない。
お互いに素早くシャワーで体を洗い流し、露天風呂へと向かった。
誰もいない露天風呂に、二人で隣同士で並びながら温泉に浸かった。
相葉くんが、小声で「イテテテッ…」と呟きながら、顔を歪めている。
相葉くんの様子を見て、どこが痛いのか、なんとなく分かった。
櫻「…ごめん」
相「えっ？」
櫻「…痛いっしょ？」
相「……あー…うん、ちょこっとだけね？でも、全然平気だよ？」
櫻「せめてローションでもあれば良かったんだけど、そんなん用意してないしさぁ…」
相「やめて翔ちゃん、生々しいから(笑)それに持ってたら、やる気満々だったってことじゃん！(笑)」
櫻「確かに(笑)」
相「いいのっ、俺嬉しかったんだから！」
そう言って相葉くんが、俺の肩にコトッと頭を乗せてきた。
櫻「あ、相葉くん…？誰かに見られたりしたらマズイんじゃないかな…？」
相「…いいじゃん別に。俺は恥ずかしくないし」
櫻「………」
サラッと言う相葉くんの言葉が嬉しかった。
それは、例え俺らの関係がバレたとしたって構わないてことだよな？
櫻「……俺も。全然いいけどね？」
俺の返事に相葉くんが顔を上げ、嬉しそうに微笑んだ。
相「…ねぇ、翔ちゃん」
櫻「ん？」
相「帰ったら俺…カノジョにちゃんと話すよ」
櫻「………」
相「好きな人がいるって。言い訳はしない」
櫻「………」
相「そんで…別れを告げてくる」
櫻「…いいの？それで」
相「当たり前じゃん。俺はもう、翔ちゃんと今後の人生を歩んでくって決めたから」
櫻「相葉くん…」
相「責任取ってよね？しょーちゃんっ」
小首を傾げて言う小悪魔に、俺はチラリと周りを確認してから、チュッと柔らかい口づけを送った。
数分後、相葉くんがザバッと立ち上がった。
相「ふぅ〜あっつ！翔ちゃん、もう出よ！」
俺の目の前に晒される、相葉くんの息子。
櫻「前隠しなさいって(笑)」
相葉くんはニカッと笑って、そのまま何歩かお湯の中を歩いていき、クルッとこっちへ振り返った。
相「ね、いつかもこんな会話したことあったよね！翔ちゃん覚えてる？」
キラキラとした目で俺を見る相葉くん。
覚えてるに決まってんだろ？
一生忘れられないロケだったんだから。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年6月23日 21時
