誘導尋問 ページ10
ペットボトルの水を持って、にのの元へ戻った。
大「ほれ」
ソファで倒れているにのに水を差し出すと、にのは水を受け取って、そのままおデコに当てた。
ニ「あー……」
違う違う、そういうことじゃない。
飲めや。
大「あ〜あ、明日に響くぞ？」
ニ「だね…」
大「なんでまた、あんな飲むんだよ」
ニ「ついついね…飲んじゃいましたよ…」
大「てか、そんな酔うの珍しくない？」
ニ「そうですね…」
大「なんか…溜まってる？」
ニ「………」
大「悩みとか…ストレスとか」
ニ「…そりゃあ、この仕事してたらいくらでもあるよ」
大「そうだけど…なんか変じゃね？」
確かにこの仕事をしてたら、悩みだのストレスだのなんて、いくらでもあるさ。
それに今、変に騒がれてるっていうのもあると思うけど。
だけど、そんなのは今までにもあったことだし、にのはその辺上手くスルー出来る人だから、こんなんなるのは、ちょっとおかしいと思う。
大「何かあんだったら…言ってみろって」
ニ「………」
大「これでも一応リーダーなんだぞ？」
ニ「………」
大「ほれほれ、言ってみ？」
言わないだろうなぁと思いつつも、なんとか聞き出そうと、いつもはやらないようなことをしてみた。
ニ「……あのさぁ…大野さん…」
にのはペットボトルの水を握りながら、弱々しい顔で俺を見上げた。
大「ん？なんだ」
ニ「今の俺って…どう見えてる…？」
大「んー、完全なる酔っぱらいだな」
ニ「そうじゃなくて…」
大「どういうこと？(笑)」
ニ「今の俺…幸せそうに見える…？」
予想外のにのの言葉に、思わず黙り込んだ。
ニ「あんだけたたかれても一緒に居る彼女がいて…お忍びデートだの、旅行だの行って…最終的に事務所からの許可も貰って…メンバーから祝福されて…」
大「………」
ニ「こんな幸せなことってないよね…」
大「…だな」
ニ「ですよね…」
急に複雑そうな表情を浮かべるにのに、ふっと思ったことを聞いてみることにした。
大「んーと…にのはさ…なんで今回、結婚に踏みきろうと思ったの？」
ニ「…タイミングですかね」
大「んまあ…大事だな。じゃあ、なんであの人を選んだの？」
ニ「…聞きたいですか？」
大「聞きたい…かな」
するとにのが、目を瞑ってふっと笑った。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年9月10日 12時
