水仙－スイセン－〔O N〕 (ページ35)

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メッセージページ35

そのメッセージカードに書かれていたのは。

『俺から貴方に贈る花は
ピンクのマーガレットです。
大野さん、大好きだよ～～』

最後の『大好きだよ』の軽さに、チッと舌打ちをしてやった。

この間は、黄色のスイセンて言ってたじゃんか。

なんでピンクなんだよ。

もっとカッコイイ色にしてくれや。

とか言いつつ、これもにのらしいやと、結局一人でフフッと笑った。

すぐにお礼のLINEを送ろうと思ったけど、なんか悔しいから、もうちょっと時間を置いてから送ることにした。

再びビールを飲み始めた俺は、録画しておいた番組を見ようとテレビをつけた。

録画したのは、にのが単独でやっているバラエティ番組。

にのに絶対見て欲しいと言われて、渋々録画したやつ。

その番組を再生し、ビールを飲んで明太子を食べながら、何気なく見ていた。

すると。

番組の中で、花言葉の解説が始まった。

「花には色んな花言葉があるんですね。例えば～」

と、テレビの中の解説者が色んな花言葉を紹介していき、それをにのが「へぇ～」て言いながら聞いている。

「えー、人へ贈る時に気を付けていただきたいのが、スイセンなんですね」

テレビから聞こえてきた言葉に、俺はふっと反応した。

「スイセンというのは『うぬぼれ』とか『自己愛』という意味があるのですが」

俺はテレビ画面に釘付けだった。

「実は『偽りの愛』という意味も含みますので、女性へのプレゼントとしては、あまり向いていないんですね」

にのが一際大きな声で驚きの声を上げていた。

偽りの愛・・・

いつかにのが言っていた

「スイセンの花束でも渡してやりたいよ」

その意味が今ようやく分かった。

なんだか胸が痛かった…。

テレビの中の解説は、まだ終わらない。

「ですがスイセンも、色が変わるとまた違った意味を含むんですね。例えば、黄色のスイセン。黄色のスイセンは『もう一度愛してほしい』という意味があるんですね」

持っていた箸が、カランとテーブルに落ちた。