メンバーとして ページ4
にのの質問に、すぐには答えられなかった。
『もし俺が、結婚するって言ったらどうする？』て・・
しばらくの間の後、俺は首を触りながら「う〜ん…」と答え始めた。
大「いやっ…あー…それってさ、事務所が…」
そこまで言いかけて口を止めた。
事務所が許すかどうかって言おうとしたけど、そんなもん、にのは百も承知で、今にのが聞きたいのは事務所がどうとかじゃなく、俺の意見だよな。
そう思って一旦言葉を止め、再度考え込んだ。
しばらくの沈黙の後、ようやく出した俺の答えは。
大「…んまあ、『おめでとう』て言うかな」
ニ「ダメって言わないの？」
大「ダメって言う権利ないじゃん？」
ニ「だって、あなた一応リーダーでしょ」
大「一応てなんだよ。そりゃそうだけど、そんなとこまで口出しする権利ないよ」
ニ「ふーん。じゃあ、賛成なんだ？」
大「賛成っていうか…だってお前…結婚したいんでしょ？」
ニ「どうでしょうねぇ」
大「どうでしょうてことないじゃん(笑)え、考えてるってことでしょ？」
ニ「…まあ」
にのの返事に、少し胸がズキンとした。
大「ほぉーん。え、それって…あの人とだよね？」
『あの人』とは、今、ネットニュースで名前が挙がっている人のことで。
ニ「他にいると思います？」
大「いや」
ニ「じゃ、それしかないじゃん」
事務所から聞かされていたから知ってはいたけど、いざ、にのの口から聞くと、なんだか複雑な思いだった。
大「結婚かぁ…」
思わず、ボソッと呟いた。
ニ「そういうあなたは、どうなんですか？」
大「俺？俺は…ないなぁ(笑)」
ニ「まぁ、あなた今、船に夢中だからね」
大「そうなんだよ」
ニ「どんどん日焼けしちゃって、そのうち夜見えなくなっちゃうんじゃない？」
大「忍び船長目指すか」
ニ「はい？」
大「なんでもね」
俺のシュール過ぎるボケに、冷めた眼差しを向けるにのが、なんだか遠くに感じる。
いつかは、こんな話をする時が来ると思ってたよ。
思ってたけど。
やっぱり聞きたくなかったな。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年9月10日 12時
